今週:地政学リスクに米金利動向…市場は波乱の展開か

 日本の主な企業の業績は相変わらず好調ですが、祝日中の米国株急落を受け、今週の日本株は大幅安で始まりそうです。

 果たして、ロシアが20日(日)に閉幕する北京五輪までにウクライナに侵攻するのかどうかに、市場の関心が集まるでしょう。

 戦争などで地政学リスクが高まると、金融市場の先行きが非常に不透明になります。そのため、定期的な金利収入を見込める米国債など高格付けの債券が買われます。

「有事」ということで、金(ゴールド)や米国ドルに資金が逃避。米ドル以上に日本円やスイスフランが買われるのが一般的です。

 一方、価格変動率が高く、先行きの見通しが立ちにくい株式は当初、大きく売り込まれることが多くなります。

 波乱に満ちた展開になりそうな今週ですが、15日(火)夜には米国の1月のPPI(卸売物価指数)が発表されます。PPIは企業間で取引される原材料やサービスなどの価格動向を見る指標です。

 今回のPPIの予想値は前年同期比8.9%増、前月比0.5%の上昇。PPIの伸びが鈍化するようだと、株価にとっては安定材料になります。

 前回発表の2021年12月は前年同月比では9.7%上昇したものの、前月比では予想を下回る0.2%の小幅上昇に減速。インフレがピークに達したのではないか、という希望的観測が広がりました。

 日本時間16日(水)には、米国の小売売上高も発表されます。あまりにいい数字だとインフレ加速、悪い数字だと景気減速と判断される可能性があります。

 そして、数時間後の日本時間17日(木)未明には、米国の金融政策を決定するFOMC(米連邦公開市場委員会)の1月開催分の議事録が公開されます。

 米国株が年始早々、急落モードに突入したのは、1月5日に発表された12月開催のFOMC議事録がきっかけでした。

 同議事録に、新型コロナウイルス禍で拡大したFRB(米連邦準備制度理事会)の総資産圧縮が盛り込まれたことが株価急落の引き金となりました。

 FOMCに出席する米国の地区連銀総裁の中には金融引き締めに積極的な「タカ派」もいて、「7月までに1%の利上げ」を唱えています。

 FRBが2022年、インフレ退治のためにどれぐらいのペースで、何%まで金利を引き上げるのか? 米国の物価や雇用、景気や株価をどうかじ取りするつもりなのか?

 それを読み取る“鍵”となる1月FOMCの議事録発表は、今週の最重要イベントです。

 当然、ウクライナ危機に伴う地政学的リスクの高まりや原油高からも目が離せません。今週も海外情勢に振り回される、慌ただしい1週間になりそうです。