外国人は2年連続、日本株のトレードで損し続けている

 外国人投資家が買うと上がり、売ると下がるので、日本株のトレードについて日本のメディアでは「外国人がうまく、日本人はへた」とコメントする傾向があります。確かに、短期的な日経平均の変動だけ見ていれば、そのようにみえます。

 ただし、より長い目で見ると、外国人投資家は必ずしもうまくトレードしていません。2020年・2021年についていえば、「安値で売っては高値で買う」を繰り返していて、日本株のトレードで損し続けています。

 まず、2020年の日経平均と外国人売買をご覧ください。

日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2020年1月6日~2020年12月30日

出所:東京証券取引所データより楽天証券経済研究所が作成。外国人の売買動向は、株式現物と日経平均先物の合計

 コロナショックで2月に日本株を暴落させたのは、外国人の売りでした。外国人の売りに対抗して巨額の買いを入れたのは日本銀行でした。個人投資家も買いました。日経平均は3月半ば以降、急反発したので、売りは失敗・買いは成功だったことになります。

 夏場にかけて、日経平均は上下とも動きにくくなる局面がありましたが、11月から再び急騰しました。この急騰を演出したのは外国人です。2020年は、外国人が安値で売り、高値で買った1年となりました。 

 次に、2021年以降、2022年2月1日までの日経平均と外国人売買をご覧ください。

日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2021年1月4日~2022年2月1日(外国人売買動向は1月21日まで)

出所:東京証券取引所データより楽天証券経済研究所が作成。外国人の売買動向は、株式現物と日経平均先物の合計

 上のグラフを見れば明らかですが、2021年に入って日本銀行の買いが少なくなると、日経平均の細かな上下動まで、ほとんど外国人売買によって決まるようになっています。その外国人が、短期間で売越→買越→売越→買越→売越と、日本株に対するスタンスを変えるので、そのつど、日経平均は上がったり下がったりを繰り返しています。

 2021年を振り返ると、日経平均はボックス圏を行ったり来たりの展開でした。外国人は、上値をトライする時に買い、下値をトライする時に売っています。外国人が狭いレンジで「上値で買い、下値で売る」を繰り返した年になりました。

 2022年に入って、ようやく日経平均はボックス圏の下値を切って下落しました。いつもどおり、売り主体は外国人です。この売りが成功するのか、また失敗となるのか、今後の日経平均の動きが注目されるところです。