今日の為替ウォーキング

今日の一言

型破りな結果を残したいならば、まず基本となる「型」を勉強しなくてはならない。勉強するだけではなく、実践して自分のものにしなければならない。

I Feel It Coming

 世界の中央銀行は、いつ収束するか不確実な新型コロナよりも、確実となったインフレの対処を優先することを明確にしました。FRBは緩和縮小のペースを1月から2倍速で進めているだけではなく、2022年末までに3回あるいは4回利上げを実施する意志を示しています。一方、ECB(欧州中央銀行)はPEPP(パンデミック緊急債券購入プログラム)を3月末で終了予定。BOE(イングランド銀行)は12月に続き2月の追加利上げが確実。RBNZは利上げサイクルに入り、後を追うBoC(カナダ銀行)は1月の会合で利上げを決定する予定。RBA(豪準備銀行)も2月に緩和縮小を終了すると見られています。

 世界の主要中央銀行は、新型コロナのリスクは、インフレやデフレと同じように、「決して消えることのないリスク」であるとの認識を持ち始めています。中央銀行総裁の多くは、世界経済は、当初の期待に反して、新型コロナ前の状態に戻ることはないだろうと発言しています。従ってコロナ前の世界で用いられていた金融政策も、現状に即したものに再調整する必要があるとの考えで、方向転換を図っています。

 オミクロン変異株は、すでに深刻な状況となっている流通網の目詰まりをさらに悪化させてコストプッシュ・インフレが一段と上昇する可能性が指摘されています。米国のインフレ率は40年ぶりの高水準まで上昇しています。

 インフレには無縁といわれていた日本でも、物価上昇が激しくなります。1月に食パンの値段が10%近く値上げされたことを皮切りに、今年は食料品や衣料品、家電や自動車、保険料から交通運賃に至るまでほぼ全分野の商品が大幅値上げとなるのは避けられません。昨年11月の国内企業物価指数は、すでに41年ぶりの上昇となっています。

 その一方で、オミクロン変異株による移動制限が再び強化が、世界経済の回復を遅らせるとの意見も無視できません。中央銀行は難しい選択を迫られることになります。

 経済ダメージが深刻になれば、中央銀行は「コロナ・シフト」の緩和政策を継続することになります。つまり、供給インフレの長期化により、より引き締め政策が必要とするなかで、量的緩和の延長、利上げの延期を強いられることになります。

 しかし、ワクチンの開発などで感染、重症化リスクが減少すれば、その先には何が待っているのか?それは、急激で大幅な金融引き締めです。FRBが利上げ前倒しに踏み切った場合、それはドル高材料である一方、株式市場にとっては強烈な逆風になります。

 それでも日銀は、「金融政策運営は現行の金融緩和を粘り強く続けていく」と宣言しています。2年後も金融緩和を続けている中央銀行は、日銀だけかもしれない。20年間も一貫して量的緩和政策を続けている日銀はある意味透明性があるとの評価で、リスクオフのときの円買い理由になったりします。

今週の重要経済指標

出所:楽天証券作成