米国の金利引き締め策で不安定な動きが続く、世界の株式市場。今週1月17日(月)から21日(金)は、どんな展開になるのでしょう?

ハイテク株が下落した理由

 先週の日経平均株価は、米国の長期金利上昇で10日(月)に下落した米国株につれ安(他の株につられて値下がりすること)して11日(火)には2万8,089円の安値をつけたものの、12日(水)には543円もリバウンド上昇しました。

 しかし、14日(金)は再び米国のハイテク株安や1ドル113円台への円高進行もあり下落。1週間でみると、前週末から354円下落して終了しました。

 14日(金)の下落は、米国中央銀行FRB(米連邦準備制度理事会)の副議長に就任予定のブレイナード理事が13日(木)の公聴会で「物価は高すぎ。米国民を苦しめている。インフレ抑制が優先課題」と発言したことがきっかけになりました。

 FRBは3月に量的緩和策の縮小(テーパリング)を終える予定です。これは、コロナ禍の経済低迷を下支えするため、市中にばらまいていたお金の量を減らすことを意味します。

 早ければ3月から利上げを開始する見通し。利上げには、お金を借りにくくすることで、需要を減らし、物価上昇を抑える効果があります。

 そして、2022年には9兆ドル近くまで膨らんだFRBの資産を圧縮する予定です。

 FRBのバランスシート上では、景気対策で買い取った国債や住宅ローン債券が資産。一方、その資産を買うために印刷して市中にばらまいたドル紙幣が負債です。

 テーパリングはお金を増やす量を減らす政策です。一方、資産圧縮は市中に出回るお金の量自体を減らしてしまう、より劇的な金融引き締め策です。

 これまで株式市場に大量のお金が流れ込むことで、かなり割高な水準まで買われてきたハイテク株が大きく下落する展開が続いているのは、そのせいです。

 12日(水)に発表された2021年12月の米国CPI(消費者物価指数)は、前年同月比7.0%と市場の予想通りだったため、米国株は上昇しました。

 しかし、14日(金)に発表された2021年12月の小売売上高は、物価高や新型コロナウイルス感染症の変異株「オミクロン型」の感染拡大で、前月比1.9%減に落ち込みました。下げ幅は、市場予想の前月比0.1%減を大きく上回りました。

 14日(金)は、2021年12月期の本決算を発表した米国最大の銀行・JPモルガン・チェース (JPM)の下げ幅が6%を超えたこともあり、小売株や金融株の比率が高いダウ工業株30種平均(NYダウ)が0.5%下落。

 一方、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は0.5%ほどリバウンド上昇して終わりました。

 2021年11月中旬以降、下落が続いている日本の東証マザーズ指数は先週も4.3%続落しました。

 これ以上下落すると、信用取引の評価損を抱えた投資家の投げ売りで、さらに急落という非常事態もありえます。