今日の為替ウォーキング

今日の一言

夢というのは魔法で叶うものじゃない。汗をかき、決断を下し、一生懸命取り組んでこそ実現するものなのだ。- コリン・パウエル(元米国務長官)

Walking On Sunshine

 前回11月米CPI(消費者物価指数)は前年比+6.8%と39年ぶりの高水準となりました。インフレの勢いは衰えを知らず、今夜発表される12月はさらに上昇して前年比+7.0%の予想となっています。詳細を見るとCPIの主要構成要素である自動車価格や住宅価格が沈静化の兆しがでている一方で、その他のコア商品が全般的に高くなっています。コア指数の予想は前年比+5.4%(前回+4.9%)に上昇する予想。

 同じく重要なインフレ指数であるPPI(米生産者物価指数)の11月は、前年同月比+9.6%。統計でさかのぼれる2010年以降で最大の伸びとなっています。コアPPIは前年比+7.7%で、こちらも過去最大の伸びとなっています。

 米国のインフレは中古車自動車から始まりました。中古車価格の高騰は、コロナで自動車通勤の需要が急増したことに加え、半導体チップの供給不足による新車生産の大幅な遅れが理由でした。

 半導体のサプライチェーンは徐々に修復が進んでいるようですが、安心するのはまだ早い。アメリカの中古車価格の指標である「マンハイム指数」は異常な高水準で高止まりしています。マンハイムは、米国最大の自動車オークション会社で、米国内の約80カ所の拠点から年間約600万台の自動車を販売しています。ライブ・オークションとデジタル・オークションの両方を運営しており、入札者はリアルタイムで参加することができます。

 マンハイム指数は昨年初めから上昇傾向が続いていましたが、特に5月からは、新型コロナの感染拡大の深刻化とともに急激に上昇しています。2021年1月に163.0だった指数は、10月には223.7、そして11月にはさらに234.8になっています。オークションの動向は、数ヵ月の遅れをもって中古車小売価格に反映されるので、CPIの上昇はまだ続く可能性があります。

 交通網が発達している日本や英国では、中古車価格が急上昇したところでそれほどインフレの実感はわきません。電車を主に利用する人にとっては、中古車価格が2倍になろうが関係ないからです。

 しかし、食料品はそうはいかない。運転をしない人は大勢いるが、食事をしない人はいない。先進国の食料品価格は、農業生産国のエネルギー価格と労働コストが大部分を占めます。最近では中東の政府が小麦を大量に購入したり、中国人が食料の備蓄を増やしたりするなどパニック買いが発生しています。

 ついに日本にも食料品インフレがやってきました。1月に食パンの値段が10%近く値上げされたことを皮切りに、今年はマヨネーズ、ハム・ソーセージ、冷凍食品、醤油、食肉、果物、アルコールなど、ほぼ全ての食料品が大幅値上げされる予定です。中古車インフレはローカルな問題ですが、食料品インフレはグローバルな問題です。