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 BLS(米労働省労働統計局)が1月7日に発表した12月雇用統計では、 NFP(非農業部門雇用者数)が+19.9万人にとどまり、市場予想(+40.0万人)を大きく下回りました。前回分は+21万人から+24.9万人に上方修正されています。

 一方で失業率は、前月の4.2%から3.9%まで低下。コロナ流行後の2020年4月に14.7%まで上昇した失業率は、今では逆に2019年9月に記録した過去最低水準の3.5%に近づいています。また平均労働賃金は、前月比+0.6%、前年比+4.7%に上昇。

 12月の雇用統計では、NFPの弱さを失業率と平均労働賃金の強さがカバーしたといえます。12月の民間雇用統計であるADP雇用データが+80.7万人と強い数字だったことから、50万人超のNFPを期待するマーケット参加者も少なからずいた中で、残念な結果となりました。

 ところが別の角度から眺めると違った風景が広がっていて、失業率はFRB(米連邦準備制度理事会)が目指す「完全雇用」がほぼ達成したといえる水準まで下がっています。平均労働賃金は、ベース効果で下落するとの見方に反して上昇。失業率の低さと賃金上昇の強さを合わせると、もはやFRBが利上げしない理由はない。マーケットでは今年4回、100bpの利上げを織り込みはじめています。

 NFPの伸び悩みは、人々が雇用市場に戻ってきていないことを示しています。雇用が伸びないのは、短期的な雇用のミスマッチの問題ではなく、高齢化による生産年齢人口の減少であることが、はっきりしてきました。労働参加率の横ばい状態が続くなかでの賃金上昇が意味しているのは、高インフレ。FRBの利上げはさらに早く、さらに大幅になる可能性があります。株式市場にとっては、強い逆風となります。ドル/円は、金利差からいえば円安ですが、金利急上昇がリスクオフを引き起こすなら大幅な円高も考えられます。