「物価高とそれを抑えるための金融引き締めで、株価はそれほど上がらないだろう」という見方が多い2022年。今年初めての「トレンドマーケットスクールTOKYO」は、2021年の復習と2022年の予習から始めます。

2021年はS&P500投資が大ブーム!投資に慣れたら個別株も

 2021年の日本株は、日経平均株価が年間で4.9%高(1,347円高)、TOPIX(東証株価指数)が10.4%高(187ポイント高)でした。

 一方、米国株は、多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数が27%高の4,766ポイントまで上昇しました。

 日本でも、つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の普及でS&P500に連動したインデックスファンドへの投資が大ブームですが、その人気にしっかり応えるハイパフォーマンスでした。

 金融や製造業の比率が高いダウ工業株30種平均は19%高、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は21%高でした。

 米国に比べると見劣りする日本株ですが、個別株なら負けていない面もあります。

 新型コロナウイルスの感染収束により経済活動が再開し、コンテナ船事業が絶好調の日本郵船(9101)は年初2,410円だった株価が年末8,760円で終わり、1年で3.6倍に。同社は2022年3月期の最終利益を前期比5.1倍と見込んでおり、配当金も前期比4倍の1株800円を予定しています。

 米国株でもマイクロソフト(MSFT)が年間51%高、アップル(AAPL)が34%高、また電気自動車の開発に乗り出したフォード・モーター(F)が約2.3倍高と、いわゆる大型優良株の株価上昇が目立つ1年でした。

 つみたてNISAで投資に少し慣れたら、一部の資金で米国株を含めた個別の優良株に投資すると、よりハイレベルの資産形成ができそうです。

 2022年の世界株式市場も3日(月)から動き始めました。

 香港市場では、債務不履行の危機にある不動産大手の中国恒大集団が突如、株の取引停止を発表。電子商取引最大手のアリババ・グループ・ホールディングなども売られ、香港ハンセン指数は0.5%安で始まりました。

 中国恒大集団は約190億ドル(約2兆2,000億円)の外貨建て債務を抱え、一部利払いが不履行になっています。取引停止の理由次第では、世界的な株安リスクが再び大きくなるかもしれません。

 一方、トルコ統計局が3日(月)に発表した2021年12月のCPI(消費者物価指数)は前年同月比36%高と、2002年9月ぶりの大幅な上昇率に。物価高は、中央銀行が大幅な利下げを実施し、自国通貨リラが下落したためです。2021年はリラが対ドルで44%も下落しており、トルコ発の金融危機が2022年初頭の差し迫ったリスクになりそうです。

 続いてオープンした米国市場は順調に上昇。電気自動車の販売台数が予想以上に増えたテスラ(TSLA)が買われ、アップルの時価総額が史上初めて3兆ドル(約345兆円)に達しました。

 ただし、米国の長期金利が警戒水準の1.6%台まで急騰しているのが心配です。

 米国では、2018年2月に良好な雇用統計を受けて長期金利が3%近くまで急上昇。金利上昇を嫌気して、株価が全面安となる「金利ショック」が起こりました。

 金利水準は当時に比べて低いですが、最近の株式市場は12月~2月にかけて急落に見舞われることが多いので注意が必要です。