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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
ウクライナ・FRB・恒大・オミクロンへの不安続く 嵐の前の静けさ?日経平均膠着
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上下とも大きくは動けなかった2021年の日経平均

 先週(12月20~24日)の日経平均株価は1週間で236円上昇して2万8,782円となりました。強弱材料が拮抗し、上下とも大きくは動きにくい展開が続いています。

 今年の10月まで順調に最高値更新を続けてきたNYダウ(ダウ工業株30種平均)も、オミクロン・パウエル・ショックで下がった11月以降は、上値の重い展開となっています。

【注】オミクロン・パウエル・ショック
 南アで検出された新型コロナウイルス変異型オミクロンの感染力が強いこと、既に世界に感染が広がっていることがわかったことを受け、再び経済に重大な悪影響が及ぶ懸念が広がり、11月末にかけて世界的に株が下落しました。それがオミクロン・ショックです。ただし、12月以降、オミクロンの不安は低下しています。感染しても無症状か軽症が多いことがわかり、世界経済への影響は限定的との見方も出ています。
 11月にもう1つ、不安が広がりました。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)がタカ派に転じる不安です。米国のインフレ高進が続いていることに対し、「インフレは一時的」と言い続けてきたパウエル議長が「一時的ではない」と発言を撤回し、テーパリング(量的金融緩和縮小)を決定したことから、「金融相場が終わる」不安が広がりました。実際、パウエルFRBは12月にはテーパリングを加速して来年3月までに完了することを決め、さらに来年利上げ3回との予測(FOMC:米連邦公開市場委員会メンバーの予測中央値)を発表し、タカ派色をはっきり出しています。

 日米とも、景気・企業業績は好調ですが、オミクロン・パウエル不安に加え、中国恒大のデフォルト処理、ロシアのウクライナ侵攻リスクへの警戒もあり、12月は上値が重くなっています。

NYダウと日経平均の推移:2020年末~2021年12月24日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 日経平均は2021年1年間を通じて、上下とも大きく動きにくい展開でした。強弱材料が拮抗していたためです。ただ、経験則では、ボックス相場が1年間も続いた後は、ボックスを上または下へ抜け、大きく荒れる展開が待っていることがあります。来年初には、何らかの動きが出てくることを想定していた方が良いと思います。