FOMC後のパウエル発言に要注意
FOMC後のパウエルFRB議長の記者会見にも注意が必要です。記者会見でテーパリングの早期終了に触れたとしても、新型コロナウイルスの感染拡大による経済の下振れリスクを警戒し、早期利上げで柔軟に行動できるよう、慎重姿勢を取る可能性も予想されるからです。
新型コロナのオミクロン株の感染者が急増していますが、重症化率は低いとの見方からマーケットには安心感が広がっています。
一方で、新型コロナによる米国の死者数の増加が加速しています。
先週、新型コロナの死者数が、ノースダコタ州の全人口80万人を超えたと報道されています。過去2週間で感染者が倍増したカリフォルニア州では、15日から1カ月間、屋内のマスク着用を義務化しました。今後の感染拡大によっては行動規制を厳しくする州も出てくるかもしれません。
このような環境の中で、パウエル議長は経済の下振れリスクをどの程度考慮するのか注目です。
世界の中銀イベントがめじろ押し
今週は、中央銀行の金融政策委員会は米国だけではありません。
16日(木)は英国のBOE(イングランド銀行)のMPC(金融政策委員会)、その45分後にECB(欧州中央銀行)理事会、日本銀行は16~17日に金融政策決定会合が開催されます。
11月のBOEのMPCでは利上げが期待されていましたが、予想に反し見送られました。英国でも新型コロナ感染者の急増、オミクロン株による死者も出たことから行動規制も徐々に厳しくなってきています。12月も利上げは期待されていますが、こういった環境では難しいかもしれません。
欧州も物価上昇や新型コロナ感染者が急増しているため、難しい判断に迫られそうです。
ECBのラガルド総裁は、FRBがインフレ上昇は一時的との認識を修正したのに対し、インフレはいずれ落ち着くというECBの見解を維持し、2022年の利上げを否定する姿勢です。
さらに、ECBはコロナ危機を受けて導入したPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)を2022年3月に終了の見通しを既に示していますが、この見通しを今回は維持すると予想されています。