人間の行動心理学と為替市場の価格帯別出来高

 価格帯別出来高とは、過去一定期間において売買が成立した出来高を価格帯ごとに表示したものである。以下のチャートの右横に白の棒グラフで表示されているのが価格帯別出来高で、価格帯別出来高の棒グラフが高いと、過去にそこで売買をした投資家が多かったことを意味する。

 下のチャートはドル/円の日足と価格帯出来高のチャートである。

ドル/円(日足)と価格帯別出来高(白の棒グラフ)

(赤↑=買いシグナル・黄↓=売りシグナル)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 白の棒グラフの出来高の多い価格帯は、過去に売買が多かったことを表しているので、その価格帯で売買をした投資家も多い。

 出来高がたくさん出来た直後に価格が下落した場合、大勢の投資家が、「高値で買ったポジションを売れずに持っている可能性が高い」ということにある。

 したがって、その後に価格が上昇し、買った時の水準まで戻ってくれば、「やれやれ、また下がって損が大きくならないうちに売ってしまおう」と考え、大勢が買いポジションを売りに出すという行動をとりやすい。

 こうした人間の行動心理学から言えることは、「現在の価格よりも上の位置に出来高の多い価格帯があると、そこで上昇が止まる可能性が高い」ということになり、そこは相場の抵抗線(レジスタンスライン)となりやすいということだ。

 一方で、出来高の多い価格帯が現在の価格より下に位置している場合は、その価格帯まで株価が下落した時には、支持線(サポートライン)としてワークする可能性が高くなる。

 白の棒グラフの出来高の少ない価格帯は価格の動きが軽くなりやすい。出来高の多い価格帯を抜けたら、価格が急騰・急落となる傾向がある。これを相場では「ブレイクアウト」と呼んでいる。

ユーロ/ドル(日足)と価格帯別出来高(白の棒グラフ)

(赤↑=買いシグナル・黄↓=売りシグナル)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 米国株と連動性の高いクロス円相場は12月初旬に下落に見舞われたが、米国株の上昇と連動する形でここ4日間はリバウンド相場となっている。クロス円相場の上昇が継続するか否かは、基本的に米国株の動向次第となるだろう。

ユーロ/円(日足)と価格帯別出来高(白の棒グラフ)

(赤↑=買いシグナル・黄↓=売りシグナル)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

ユーロのシーズナルチャート(過去20年間の平均)

出所:エクイティクロック

NZドル/円(日足)と価格帯別出来高(白の棒グラフ)

(赤↑=買いシグナル・黄↓=売りシグナル)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

NZドルのシーズナリーチャート(過去20年間の平均)

出所:エクイティクロック