積み立てをやめる、見直すべきタイミングは?

 まず、マーケットの観点から、長期投資で続けるならマーケットが崩れてもそのまま続けて構いません。積み立ての最も大きな効果は、「低いところでたくさん買える」点です。マーケットが崩れたときに積み立てをやめてしまうと、むしろその積み立て効果を生かすことができず、パフォーマンスに悪影響を与えてしまうこともあります。

 ぜひ、相場が一時的に急変してもマーケットに居続けることを心掛けてください。

 一方、積み立てのゴールが見えてきた方は、そのまま継続するのではなくリスク調整に入っていった方がよいでしょう。

 ゴールというのは、目標としていた金額を貯められたという金額的なゴールや、ご自身の退職やお子さまの教育資金などの時間的なゴールもあると思います。そのゴールが見えてきたら、投資のギアを切り替えて、安全に着地できるような調整が必要です。

自分本位で考える

 下のグラフを見ると、やはり米国株式などで長く積み立てれば、毎月3万円程度の積み立てで2,000万円を目指すのも夢ではない、ということになりますが、一方で短期的に下がる可能性も十分にあり得ます。せっかく3,000万円近くまで増えた資産が、いざ使おうと思った直前に1,500万円に減ってしまったとしたら、感情的なショックを受けるだけでなく、予定していたイベントに資金が払えなくなるなど、生活に大きな影響を及ぼしてしまう可能性もあります。

出所:各種データをもとに筆者作成

 投資を最近始めた方は、2020年3月のコロナ・ショックを経験された方も多いと思いますが、その際は世界の株式市場全体が一時的に急落した後、急回復を遂げたことが特徴的でした。

 この経験から、株は下がっても数カ月程度ですぐに戻るものと感じた方も多いかもしれません。しかし、これは非常に珍しいケース。リーマン・ショック時は回復まで数年かかっており、その他の目立った大きな下落時でも、やはり回復に1~2年など年単位でかかることが多くなっています。

 このような時期と資金を使うタイミングが仮に重なってしまっても大きなダメージを受けることのないよう、自分自身のゴールが近付いてきたら、積み立てのポートフォリオをぜひ見直しましょう。

「他の人と同じような投資で、同じタイミングにこうすべき」「こちらのやり方の方が絶対によい」ということは投資の世界にはありません。まず何を目指しているのか、何のために運用しているのか、自分本位で考えて投資のプランを立てていくべきなのです。

資産形成の疑問まるごと解決!その5:50~60代ではじめる資産形成、まとまった資金の運用を失敗したくない!

資産形成の疑問まるごと解決!
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≫その2:iDeCoとつみたてNISAを始めたい、中身は何がいい?
≫その3:「おまかせ運用」本当にいいの?デメリットは?
≫その4:つみたてNISAから、投資をどう広げたらいいですか?
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