自分に合った運用方法は、2つの観点で考える
今回は、それぞれのケーススタディーを通じて、「運用目的」「いつまで運用できるか」という2つの観点から運用を考えるべきとお伝えしてきました。
この観点から考えるべきなのは、資産の値動きと関係しています。
上のグラフは、2003年3月末から毎月3万円で積み立てていた場合の資産推移シミュレーションです。
もし、目標金額が2,000万円であった場合、同じ3万円で積み立てていても、世界債券などのリスクの低い資産で運用していた場合は、2021年8月末時点で844万円です。一方、米国株式で運用していた場合は、約2,650万円になっています。
積み立てできる金額が決まっている場合は、リスクの低い運用では目標を達成できないことがあるため、ある程度の長期間でリスクを取りながら、高いリターンを期待して運用していくことが必要になります。
一方で、それをずっと続けているとどうなるでしょうか。
もし仮に、先ほど米国株式で積み立てた資産2,650万円を、そのまま米国株式で運用を続けていて、「もしリーマン・ショック級の下落がきたら?」というシミュレーションが上のグラフです。
こちらを見ると、一時期は3,000万円近くになっていた資産が、リーマン・ショックの際に突如1,500万円程度になり、資産が約半減する、ということが起こっています。
長期的な目標のためにはハイリスク・ハイリターンの運用が必要な場合もありますが、そのまま使う時期が近付いてもハイリスク・ハイリターンの運用を続けてしまうと、資産が数百万円・数千万円単位で減少してしまうことは十分あり得ます。
このようなことは過去に実際起こっており、また次にいつ来るかは誰にも分かりません。本当にお金が必要なタイミングとマーケットの下落のタイミングが同じになってしまうこともあります。
このようなことが二度と起こらないだろうと楽観視するよりも、またいつ起こっても大丈夫なように、使う時期が近付いたらリスクをしっかりと調整し、下落にも備えた運用方法をとっておくことが重要なのです。
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