インフレ高進はグロース株に逆風、バリュー株に追い風

 米国でインフレ率(CPI総合指数前年比上昇率)が10月時点で6.2%まで上昇していることが、米国株、特にナスダック上場のGAFAMにとって不安材料となっています。

米インフレ率(CPI総合指数・コア指数の前年比騰落率)推移:2020年1月~2021年10月

出所:米労働省

 高インフレが長期化すると、米長期金利がさらに上昇し、株式から債券へ資金の逆流が起こる可能性があります。とくにGAFAMなどPER(株価収益率)でやや高めの評価をされている米大型ハイテク株にネガティブと考えられています。

 ただし、インフレそのものは、決して株式市場にとってマイナスではありません。特にオールド産業にとっては、復活につながる面もあります。

 日本が得意とする製造業はオールド産業として、世界の株式投資で「好業績でも無視」されやすくなっています。世界中で製造業が過剰な生産能力を持ち、モノが余り、モノの値段がすぐに下がってしまうことが、製造業の価値を貶めてきました。

 今、起こっていることは、その逆回転です。米国で消費が拡大する中、モノが足りずモノの値段が上がっていることが、米国の高インフレにつながっている。そのインフレが長期化するということは、世界の製造業にとっては「干天の慈雨」です。