4口座開設の資産形成効果をシミュレーション
iDeCoで月2.3万円(企業年金のない会社員のケース)、つみたてNISAで月3.3万円(年40万円の1/12として)を満額積み立てたとします。
35~65歳までの30年積み立てた場合、1年当たりの入金額は年67.4万円、30年の元本累計は約2,020万円です(iDeCoは月171円を控除)。年3.0%の運用益を非課税で獲得したとすると、最終受取額は約3,273万円になる計算です(筆者試算)。
複利効果はかなり効きますね。
※iDeCoは2022年5月から原則65歳になるまで加入できるようになる。つみたてNISAは恒久化されたと仮定
これでも十分な資産形成といえますが、これを夫婦二人で同時にダブル口座開設できれば単純に2倍計算で約6,546万円になります。老後は盤石となるでしょう。
この試算ではダブル口座開設のメリットが低いように感じますが、40歳あるいは45歳など、積み立てスタートが遅くなった夫婦ほど、ダブルiDeCo、ダブルつみたてNISAの計4口座を作りたいものです。
たとえば、20年の期間であれば1人分のダブル口座では約1,844万円のところを、夫婦ダブルの4口座で約3,688万円まで積み上げられることになります(筆者試算)。
課題はパートナーの理解と同意。効果的な説得方法は?
夫婦それぞれがiDeCoとつみたてNISAで積み立て投資を行うことが資産形成上、有効なのは間違いありません。「お金のことは私の担当」といっても、パートナーが勝手に代理で口座開設することは好ましくありません。本人が自分名義の口座を開設し、引き落としの指定をする必要があります。 金額的にもそれなりの積み立てですから、知らずに引き落とされる範囲を超えます。月5.6万円も自分の口座から勝手に引き落とされて平気な人はそうそうありません。
また、iDeCoは中途解約の制限がありますし、どちらも投資のリスクを取るわけですから、本人に無断で行うこともまたお勧めできません。
となると、パートナーの理解や同意が必要になります。しかし、「制度のメリット」や「投資の重要性」だけを訴えることはあまりいい方法ではありません。
なぜなら、あなたのパートナーが投資についてうたぐり深い、もしくはそもそも資産管理について関心が薄い可能性があるからです。
そんなときは、次の3つのステップで順を追って説明していくといいでしょう。そう、「税制優遇」はむしろ優先順位が後なのです。
1:資産形成の必要性(マネープランよりも将来の豊かさや楽しさのビジョンを示すこと)
2:積立枠を確保する具体的方法(ボーナスも活用しつつ、節約の具体的計画など)
3:それぞれの口座を選択する意義(税制優遇が「お得」であること)