今日の為替トレッキング

今日の一言

人は誰でも足跡を残す。影のない人間はいない

Kids in America

 今夜は10月の米雇用統計が発表されます。非農業部門雇用者数の増加は2カ月連続で予想を大きく下回る結果となっています。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)は、「来年後半までに最大雇用が達成できる」として、今は短期的な下振れに過ぎないと考えているようです。

 しかし、本当にそうでしょうか。雇用者が増えないのは(求人募集が溢れているにもかかわらず)、一過性の現象ではなく、米国の雇用市場に構造変化が起きている可能性があります。

 今回の雇用統計の詳しい解説については、詳細レポート「アメリカの労働者は、どこへ消えたのか?深刻な人手不足を招いた「犯人」は誰だ?」をお読み下さい。

 2020年2月の米経済はまさに絶好調で、米雇用市場は50年ぶりの低失業率を謳歌していました。ところが、新型コロナの襲来によって、たった2カ月間で2,200万人もの職が奪われ、完全雇用の状態から戦後最悪の水準まで一気に悪化したのです。

 ところがその後の反動も驚異的で、2020年5月と6月の2ヵ月間であっという間に30%以上も仕事が戻った。これを景気循環と呼ぶなら、3月と4月は不況で、5月と6月は好況。経済が歴史的に経験してきた景気循環とは、長ければ50年、短くても40カ月が周期なので、まさに異次元のスピードです。

 非農業部門雇用者数は、2020年5月から2021年9月までの16カ月間で約1,740万人増加しました。

 パウエルFRB議長が期待する、新型コロナ前の状況に比べるとまだ約500万人少ない状況。

 021年1月から9月までの期間、雇用者増は月平均53.5万人増加しているので、今後もこのペースで増えていくとして、新型コロナで失われた雇用が全て元通りになるのは2022年6月以降になります。