9月中間決算発表時に、通期業績計画の上方修正が増えると予想

 9月中間決算では、通期(2022年3月期)業績予想を上方修正する企業が増えると予想しています。製造業・市況関連産業(鉄鋼・海運・商社など)に、業績上ぶれ含みの企業が多いと見ています。

 ただし、製造業でも自動車はまだら模様かもしれません。半導体不足や東南アジア工場の操業停止のマイナス影響がどう出るか懸念があります。

 外食・小売り・イベント・観光・電鉄・航空業など、内需サービス産業は緊急事態宣言が長期化していた影響でネガティブな決算が出そうです。ただし、下期は内需回復が期待されるので、業績予想の下方修正はあまり出ないと思います。

 全体をまとめると、上方修正が下方修正を上回ると予想しています。

 9月中間決算の先行指標となるのが、10月1日に発表された「9月日銀短観のDI(業況指数)」です。日本の景気動向の変化をほぼリアルタイムで表す指標として注目しています。

日銀短観大企業DIの推移:2018年3月~2021年9月

出所:日本銀行

 9月の大企業・製造業DIは+18と、6月の+14から4ポイント改善しました。米景気好調の恩恵で、製造業の足元の景況は良好と考えられます。円安が進行していることもプラスです。これは大企業経営者が9月に回答したアンケートを集計した結果なので、10-11月に発表される「9月中間決算」の先行指標となります。

 一方、9月の大企業・非製造業DIは+2と、6月の+1から1ポイントしか改善していません。景況の回復の鈍さが気になります。ただし、10月以降、緊急事態宣言解除によって、業況が改善すると考えているので9月時点の業況が低水準でも特に問題はないと考えています。