政治の変化をよく見ている外国人投資家

 日本株の動きを予想する時、「外国人から日本がどう見えているか」を常に考える必要があります。私はファンドマネージャー時代、欧米の年金基金や中東・アジアのソブリンウェルスファンドとしばしば日本株の見方について議論してきました。

 その経験から分かっていることを言いますと、まず外国人投資家は日本の政治を良く見ています。

 資本主義の構造改革・成長戦略を推進する自民党が選挙で勝って、支持率が高まり強いリーダーシップを発揮する時に、日本株を積極的に買ってきます。自民党の支持率が低下する時には、日本株を売ってきます。

 今年に入って菅政権の支持率が低下し、衆院選で自民党が大敗して政権が弱体化する懸念が高まったことから、外国人は日本株を売っていました。

 しかし、菅首相が突然退陣表明したことで、「これから選ぶ新総裁の元で衆院選に勝利し、資本主義の構造改革と成長戦略を強力に推進する政権が誕生する」期待が高まったと判断して、株の買い戻しに動いていました。

 ところが、誕生したばかりの岸田政権から出たメッセージは、外国人投資家から見て、資本主義の構造改革・成長戦略を強力に進めるメッセージと受け取ることができませんでした。

 また、出たばかりのメディア各社の内閣支持率は、45~59%と政権発足直後の調査として低めでした。政権基盤が強化される期待も低下しました。