過去のデータを上手に活用すれば勝率が上がる
──まつのすけさんは、過去の値動きを分析して法則を見つけるという方法を続けてきたわけですよね。これは今も行っているのですか。
はい、もちろんです。資料を読んだりして、「Aというイベントの直後には株価が上昇する」という仮説が浮かんだとしますよね。そうしたら、楽天証券の「MARKET SPEED」など各ネット証券のトレーディングツールや、Yahoo!ファイナンスの時系列データなどを活用して、Aの直後の株価のデータを収集して、Excelに入れていきます。
データが整理できて、ある程度、法則がつかめてきたら、次に「上昇している銘柄に共通する属性は何か」、「株価が下落した銘柄にはどんな特徴があるのか」などを考えます。こうして掘り下げていくと、Aの直後にはどんな銘柄を狙えばいいのかが見えてくるわけです。
──結果として勝率を上げることができるようになるのですね。
はい、そういうことです。
──データ分析は大事なんですね。
株を買うときには、何か理由があってその銘柄を選ぶわけですよね。「ROE(自己資本利益率)が高いから」「PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)が低いから」「成長性が高いから」などなど。でも、ROEが高ければ高リターンが得られるかというと、必ずしもそうではありません。その銘柄の特性、あるいは時期などによって結果は違ってくるわけです。そこで大事なのが、過去の似たような条件のもとではどんな結果だったのか、パフォーマンスがよかったのか悪かったのかを知ることです。それが分かれば、今、投資すべきなのか見送るべきなのかが見えてくるわけです。
──つまり、過去のデータをもとに売買のシミュレーションを行ってみるのですね?
はい、それによって成績は飛躍的に向上すると思います。期待値が低い売買に大金を投じて損するリスクが減り、期待値が高い投資を行えるようになります。
──ちょっと大変そうですが、それを惜しんでいては勝てないということなんでしょうね。
私はもともと、データを集計したり分析したりする作業が好きなんです。だから、まったく苦とは思わない。会社員時代も帰宅後、パソコンの前に張りつき、夜中まであれやこれや、よくデータを触って楽しんでいました(笑)。
公募割れREITで手堅いリターンを獲得する
──株主優待先回りやIPOセカンダリー投資について聞きましたが、もう1つ誰でもマネができそうなものを教えてください。
では、「IPOセカンダリー投資」に1つアドバイスをします。IPOには株式ではなく、REIT(不動産投資信託)もあるのですが、ここ数年のREITの成績を見ると、株式と異なり、無格付けREITはほとんど公募割れしています。しかし、IPOセカンダリーとなると話が違ってきます。なぜなら、初値は公募価格を下回ることが多いのですが、そこから短期間で回復に向かうことが多いんです。
──つまり、公募割れしたREITを初値で買うとある程度のリターンが期待できるのですか?
はい、初値というよりも初日の終値で買う。で、翌月末に売却する。単純きわまりない方法ですが、手堅いリターンを獲得できます。
──勝率はどれくらいですか。
2002年から2018年前半までこの売買を行ったと仮定すると初日の終値で買ったら21勝3敗という結果になっています。初値がついた日の翌日も下落したら買い増し、翌々日も下落したらナンピンするとさらに勝率が高まります。
──それはスゴイですね。
誰でも簡単に実施できますから、ぜひチャートを見てみてください。
──ベテラン投資家も投資初心者も、マネできそうなヒントをたくさんいただきました!今日はありがとうございました。
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