※このインタビューは2019/08/30に公開した記事となります。
2011年から「イベント投資」を実践し、30代前半の若さで「億り人」の仲間入りを果たした、まつのすけさんインタビューの後編をお届けします。今回は、まつのすけさんが「イベント投資」を始めるようになったきっかけ、さらにはデータ分析や売買シミュレーションの重要性について聞きました。
損切りの決断が早いので大損はしない
──まつのすけさんは、最初からイベント投資を行っていたわけではなく、初めは普通にバリュー投資などを行っていたんですよね。そもそもいつ頃、株を始めたのですか。
社会人1年目です。小泉構造改革への期待感から日経平均株価が大幅に上昇していたころで、ちょっとした株ブームが到来していました。しかも、職場に株式投資をやっている人がけっこういたんです。同僚や先輩の影響もあって、当時普及しつつあったネット証券に口座を作ったのが最初です。
──成績はどうでした?
何を買っても儲かる時期でしたからね。最初の数カ月は順調でした。
──その後、ライブドア・ショック、さらにはリーマン・ショックが訪れますが。
どちらも大きなマイナスを背負うようなことはなかったですね。その頃はまだ投資金額自体、少額でしたし。それに私は見切りが早いほうなんです。ある程度、評価損が出ると売りたくなってしまう。これは性格的なものだと思いますが、深追いする気にはなれないんです。それもあって1つの銘柄で大損するようなことはありませんでした。
──今も損切りの決断は早いのですか?
はい、今も変わりません。もちろん、「もう少し持っていればよかった!」と思うことはありますよ。でも、そのせいで含み損を抱えて身動きが取れなくなるようなことはないので、自分としては正解だと思っています。
──そんな中、何がきっかけでイベント投資を始めるようになったのですか?
「株主優待先回り」の法則に気づいたことがきっかけです。優待株の株価の推移を見ていたら、権利確定日の数カ月前からじわじわと上がっていくことに気づいたんです。そのときは「すごい発見をした!」と思いました。と同時に株主優待以外にも、過去の値動きから何か法則を見つけることができないか、もしできたら今の何倍も稼げるようになるのではないかと考えるようになりました。
──では「株主優待先回り」はまつのすけさんが発見した?
いえいえ、そうではないんです。その後、すぐわかったんですが、自分より早く気づいて実践している人たちがいました。よくよく考えてみれば当たり前のことなんですが(笑)。
──残念でしたね(笑)。
で、その人たちのブログを見ていると、「株主優待先回り」以外にもいろいろ試している方がいたんです。それで、その方の取り組みを参考にしながら、自分なりにイベント投資を追求するようになりました。
──ちなみにどなたですか?
人気投資ブロガーの夕凪さんです。この方は 『スタバ株は1月に買え! 10万円で始めるイベント投資入門』 (東洋経済新報社)という本を出されています。イベント投資についてとてもわかりやすく書かれているので、ぜひ勧めたいですね。
──まつのすけさんも2018年に 『会社員をしつつ、株で元手40万から月250万ちょい稼いでいる件』(ぱる出版)という本を出されましたよね。
自分の考えを多くの方に伝えたいと思っていたら、ちょうどお話をいただいたので。こちらも参考にしてもらえるとうれしいですね。
過去のデータを上手に活用すれば勝率が上がる
──まつのすけさんは、過去の値動きを分析して法則を見つけるという方法を続けてきたわけですよね。これは今も行っているのですか。
はい、もちろんです。資料を読んだりして、「Aというイベントの直後には株価が上昇する」という仮説が浮かんだとしますよね。そうしたら、楽天証券の「MARKET SPEED」など各ネット証券のトレーディングツールや、Yahoo!ファイナンスの時系列データなどを活用して、Aの直後の株価のデータを収集して、Excelに入れていきます。
データが整理できて、ある程度、法則がつかめてきたら、次に「上昇している銘柄に共通する属性は何か」、「株価が下落した銘柄にはどんな特徴があるのか」などを考えます。こうして掘り下げていくと、Aの直後にはどんな銘柄を狙えばいいのかが見えてくるわけです。
──結果として勝率を上げることができるようになるのですね。
はい、そういうことです。
──データ分析は大事なんですね。
株を買うときには、何か理由があってその銘柄を選ぶわけですよね。「ROE(自己資本利益率)が高いから」「PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)が低いから」「成長性が高いから」などなど。でも、ROEが高ければ高リターンが得られるかというと、必ずしもそうではありません。その銘柄の特性、あるいは時期などによって結果は違ってくるわけです。そこで大事なのが、過去の似たような条件のもとではどんな結果だったのか、パフォーマンスがよかったのか悪かったのかを知ることです。それが分かれば、今、投資すべきなのか見送るべきなのかが見えてくるわけです。
──つまり、過去のデータをもとに売買のシミュレーションを行ってみるのですね?
はい、それによって成績は飛躍的に向上すると思います。期待値が低い売買に大金を投じて損するリスクが減り、期待値が高い投資を行えるようになります。
──ちょっと大変そうですが、それを惜しんでいては勝てないということなんでしょうね。
私はもともと、データを集計したり分析したりする作業が好きなんです。だから、まったく苦とは思わない。会社員時代も帰宅後、パソコンの前に張りつき、夜中まであれやこれや、よくデータを触って楽しんでいました(笑)。
公募割れREITで手堅いリターンを獲得する
──株主優待先回りやIPOセカンダリー投資について聞きましたが、もう1つ誰でもマネができそうなものを教えてください。
では、「IPOセカンダリー投資」に1つアドバイスをします。IPOには株式ではなく、REIT(不動産投資信託)もあるのですが、ここ数年のREITの成績を見ると、株式と異なり、無格付けREITはほとんど公募割れしています。しかし、IPOセカンダリーとなると話が違ってきます。なぜなら、初値は公募価格を下回ることが多いのですが、そこから短期間で回復に向かうことが多いんです。
──つまり、公募割れしたREITを初値で買うとある程度のリターンが期待できるのですか?
はい、初値というよりも初日の終値で買う。で、翌月末に売却する。単純きわまりない方法ですが、手堅いリターンを獲得できます。
──勝率はどれくらいですか。
2002年から2018年前半までこの売買を行ったと仮定すると初日の終値で買ったら21勝3敗という結果になっています。初値がついた日の翌日も下落したら買い増し、翌々日も下落したらナンピンするとさらに勝率が高まります。
──それはスゴイですね。
誰でも簡単に実施できますから、ぜひチャートを見てみてください。
──ベテラン投資家も投資初心者も、マネできそうなヒントをたくさんいただきました!今日はありがとうございました。
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