2つの顔を持つ中国

【1】消費が安定的に成長けん引、過去に積みあがった非効率投資は調整が必要

 中国GDPの大まかな構成を言うと、約半分が広義の消費、残り半分が投資です。大衆層の賃金レベルが上がり、中間層が富裕になってきた効果で、消費は安定的に拡大しています。

 ところが、地方政府や国営企業が無理に積み上げてきた非効率な投資には、調整が避けられません。需要がないにもかかわらず大量に作ってしまった高層マンション群、需給悪化を無視して増設した製鉄所などは、調整が必至です。

 中国経済は、2つの顔を持ちます。消費は安定的に高成長が続きます。ところが、一部の投資バブルは調整が必要です。

【2】国営企業は構造問題を抱えるが、民間企業は強い

 別の切り口でも、中国経済には、2つの顔があります。非効率経営の国営企業には、ゾンビ企業が多数あります。こうしたゾンビ企業の存在が、中国経済の隠れた不良資産となっています。

 一方で、活力ある民間企業が、世界の成長市場を次々と支配していく実態もあります。太陽電池・ケータイ電話・ケータイ基地局・ドローンなど成長市場で、中国が次々とトップに踊りでています。

 中国企業は、電気自動車向け電池への投資をどんどん拡大しています。やり方は不器用で乱暴に見えますが、後から振り返ると、世界の成長市場を乱暴に奪い続ける力を持っているのも、中国の一面です。