日経平均は2022年央までに3万5千円を目指す

 現時点では、自民党総裁(≒新首相)が決定したわけではなく、期待先行による「買い戻し(踏み上げ)相場」の色彩が濃い状況となっています。上記した青木率に沿わず、衆院選で自民党が敗北すれば、株価が一転反落するリスクもあります。

 ただ、日本株は米国を中心とする世界市場のなかで出遅れ感が強く、割安に放置されていただけに、外国人投資家が先週来の「変化(チェンジ)」を材料にポジション修正をスタートさせた可能性が大きいと考えられます。

 とはいっても、日経平均が節目とされてきた3万円を突破したことで、利益確定売りや戻り売りで短期的に下落する可能性もあります。10日はメジャーSQ(株価指数先物とオプションが同時に清算日を迎える日)で株価が上下に変動する場面も想定されます。

「選挙は買い」との相場格言(市場実績)もあり、新首相が打ち出す景気対策、構造改革、成長戦略次第で、日経平均が一段と上昇する余地はありそうです。

 参考情報として、図表3に筆者が予想する日経平均のメインシナリオ(水準と軌道)を示しました。本年末までに3万2千円、来年(2022年)央ごろまでに3万5千円程度まで上昇する余地があると考えています。

<図表3:日経平均は「年末高」を早め、来年央までに3万5千円も

*上記した予想は参考情報であり投資成果を確約するものではありません。
(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年9月9日)

 上記したメインシナリオには、新しい首相の政権発足、具体的な人事や政策発表(所信表明演説など)とその実行力が必要となり、具体的物色にも影響を与えそうです。

 政局以外にも、減少傾向を見せているウイルス新規感染者数の動向が一段と改善すれば、来年に向けた経済正常化や業績改善が視野に入りやすくなり、相場の「重石」が外れる可能性もあります。