「青木率」で占う次回衆議院選挙は与党勝利?
市場はすでに自民党総裁選挙後に予定されている衆議院選挙を視野に入れていると思われます。そこで、「青木率」から同選挙の行方を占ってみたいと思います。
青木率とは、自民党参議院議員会長を務めた青木幹雄氏が考えたとされる法則で、世論調査の「内閣支持率」と「自民党支持率」の合計を言います。この数字に総議席数を掛け合わせた数が国政選挙での「自民党の予想獲得議席数」として試算されてきました。
直近の読売新聞による緊急世論調査(9月4~5日実施)によると、内閣支持率は31%(前回は35%)、自民党支持率は36%(前回は32%)と、菅内閣の支持率が低下した一方、自民党支持率は上昇しています。
総裁交代に伴う政策期待で、低下してきた内閣支持率が反転上昇する可能性があり、青木率は控えめに見積もっても6割超となり、自民党の単独過半数維持が見込まれます。
図表2で示すとおり、青木率6割から計算した自民党の予想獲得議席数279に、(支持基盤が堅い)公明党の現有議席(29)を足し合わせると「連立与党の獲得議席数」は308議席となり、衆院総議席数の3分の2となりそうです。
これは、与党が国会の常任委員会の過半数と委員長ポストを握り、安定した国会で政権を運営できることを意味します。特に海外(外国人)投資家はこうした政治の安定性を好材料視すると考えられます。
<図表2:「青木率」で占う衆議院選挙予想>
現時点で自民党総裁選に出馬(あるいは決意)を表明している候補者は、岸田文雄前政調会長、河野太郎行政改革相、高市早苗元総務相などとなっています。
いずれの候補者が当選しても、10月以降の衆議院選挙で自民党が議席を大幅に減らす可能性が後退したとの見方を市場は好意的に受け止めています。コロナ対策に比較的予算を使わなかったとされる菅首相からの政策変更期待(景気対策期待)も株高の背景と言えそうです。
岸田氏、河野氏、高市氏のうちだれが新首相となっても、菅首相より積極的な財政政策を打ち出すと思われています。
菅政権でも、デジタル庁の創設、携帯料金引き下げ、ワクチン接種推進などで一定の成果がありました。新政権では、構造改革や規制緩和の推進など成長戦略の拡充に関わる政策の発信と実行が期待されます。