If We Hold On Together

 今夜は米国の7月CPI(消費者物価指数)が発表されます。

 前回6月は、は前月比+0.9%、前年比+5.4%と、約13年ぶりの高水準でした。7月も強い数字となりそうで、現在の予想は、前月比+0.5%、前年比+5.3%。過去3カ月に比べると上昇幅が小さいのは、消費者物価指数の急上昇をリードしてきた中古車価格が落ち着いてきたからです。5月には約70年ぶりの上昇率を記録した中古車価格の上昇はそろそろピークに達した可能性が指摘されています。

 そもそも、中古車価格が高騰したのは、コロナで公共交通機関を避けたい米国人サラリーマンの自動車通勤のニーズが増えたこと。そこにサプライチェーンの問題による半導体チップ不足で新車が手に入らなくなったことが追い打ちをかけたのです。

 供給問題の解消にしたがって中古車価格は落ち着きはじめましたが、今度は新車価格が上昇を始めています。またコロナ移動制限の解除によって、夏休みの航空運賃、コテージ(貸別荘)料金やサマーウェア、そして9月のオフィス復帰のスーツの需要で衣料品価格が上昇しています。

 インフレが広範な商品で発生しているならば、利上げなど中央銀行の金融政策の介入が必要です。しかし、一部商品にだけ発生しているのならば、それは在庫の偏りにすぎず、政策行動の必要性はない。自動車価格は確かに急騰していますが、運転をしない人々にとっては、インフレは発生していない。少なくとも回りが騒ぐほどの急騰の実感はない。ところが、ファーストフードなどや食料品が一斉に値上げするならば、これは全ての人に関わりのあることなので(食事をしない人はいない)、経済的なインパクトは非常に大きくなります。

 米国のファーストフード業界における従業員の離職率は、20年ぶりの高水準といわれています。労働力供給の不足が、一時的にインフレを引き起こしているだけであって、雇用市場が速やかに回復して、労働者が仕事に戻ってくれば、徐々に回復するといわれています。FRBが主張する、インフレは「一過性」の理由です。