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 米6月CPI(消費者物価指数)は大幅に上昇しました。前月比+0.9%(予想+0.4%)、前年比+5.4%(同+5.0%)と、米国のインフレは約13年ぶりの高水準が続いています。詳細を見ると、引き続き自動車価格の値上がりが目立ち、中古車は前月比+10.5%(前月+7.3%)、新車は+2.0%(同+1.6%)も高くなっています。コロナ禍で公共交通機関利用を避け自動車通勤のニーズが増えたのと半導体チップの供給問題による新車不足が理由とされています。

 インフレが広範な商品で発生しているならば、利上げなど中央銀行の金融政策の介入が必要です。しかし、一部商品にだけ発生しているのならば、それは在庫の偏りにすぎず、政策行動の必要性はない。自動車価格は確かに急騰していますが、運転をしない人々にとってのインフレは発生していない。ところが、ファーストフードなどや食料品が一斉に値上げするならば、これは全ての人に関わりのあることなので(食事をしない人はいない)、経済的なインパクトは非常に大きくなります。

 米国のファーストフード業界における従業員の離職率は、20年ぶりの高水準といわれています。労働力供給の不足が、一時的にインフレを引き起こしているだけであって、雇用市場が速やかに回復して、労働者が仕事に戻ってくれば、徐々に回復するといわれています。

 これが、FRB(米連邦準備制度理事会)が主張する、インフレは「一過性」の理由です。