燃料電池車のコストをどこまで下げられるか、トヨタのお家芸に期待

 水素を使った燃料電池車の開発で先行していることが、トヨタの未来への期待となっています。

 ただ、当然ながら、問題もあります。インフラ(水素ステーション)が整っていないこと、価格がきわめて高いことです。将来、燃料電池車の価格が下がって普及が進めば、インフラは自然に整ってくると思います。既存のガソリンステーションに設備投資して、水素も扱えるようにする案が有力です。

 問題は、価格です。燃料電池システムを製造するのに高度な技術が必要で、現時点で高いコストがかかります。トヨタが発表した新型MIRAIは、2014年12月に発売した初代と比べて大幅なコストダウンを実現しています。それでも価格は、710万円からとまだ高すぎます。今後、トヨタがどれだけコストダウンを実現できるかに、水素自動車の未来がかかっています。製造業として世界のトップにたつトヨタならば、近い将来、大幅なコストダウンを実現していくのではないかと、予想しています。

 トヨタが最初にハイブリッド車を試作したとき、「低燃費のコンセプトは良いが、製造コストが高すぎて一般に普及させるのはむずかしい」と言われました。ところが、トヨタはお家芸のコストダウン努力を続け、ハイブリッド車を大衆車として普及させることに成功しました。

 今は「燃料電池車」は、次世代自動車の本命と考えられていませんが、トヨタが大幅なコストカットを実現すれば、EVを凌駕する可能性もあります。自然エネルギーを使った発電から、グリーン水素を作り、自動車を水素で動かす世の中が来る可能性もあると考えています。

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