Careless Whisper

 6月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数(NFP)は85.0万人増えました(5月58.3万人、4月27.8万人)。雇用者の増加数は今年これまでの最大を記録。労働力供給の詰まりが解消されつつあるサインです。

 米国の雇用市場では、コロナ禍によって、昨年3月と4月のたった2ヵ月の間に2200万人もの雇用が失われました。しかし、その後はでこぼこがあったもの着実に回復を続け、6月の非農業部門雇用者数は2020年4月時点から比べると1,560万人増加しました。

下半期の雇用市場は、さらに堅調に推移すると予想されています。雇用者増加の3ヵ月間の平均は57万人。このペースが維持されるならば、米経済が「軌道に乗った」と判断する証拠が揃ったとして、FRBは9月、早ければ8月にも緩和縮小を正式発表、来年1月から実施という運びになるでしょう。

 米経済における「弛(たる)み」は、表の失業率や平均労働賃金よりも高い(悪い)可能性があるとの指摘もあります。この「弛み」の存在が、インフレ高騰のリスクを低減させるだろうというのが、FRB(米連邦準備制度理事会)の考えです。