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 先週の米10年債利回りは一時1.3%を下回る場面がありました。2.0%目指して上昇すると予想されていた米長期金利が逆に低下した理由のひとつに、米国で急速に拡大するデルタ変異株ウイルス感染への懸念がありました。米国内で分析された陽性サンプルのうち30%がこのデルタ型と判明されていて、現在ではすでに50%以上まで蔓延していると予測されています。新型コロナ再拡大による経済再開の遅れ、あるいは景気回復の尻すぼみ。懸念は景況指数のサービス業ISMの低下となってあらわれています。

 7日に公表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録によると、FRB(米連邦準備制度理事会)は緩和縮小に向けて動き始めましたが、議論はまだ始まったばかり。いつ公式発表するかなど具体的な日程は示されませんでした。

 経済指標と中央銀行の政策のウェイトが増すなかで、今週は13日(火曜)に6月の米CPI(消費者物価指数)の発表があります。結果によってはマーケットのセンチメントが再び利上げに強く傾く可能性もあります。そして14日はパウエルFRB議長の議会証言。

 景気回復局面においては、不況時よりも中央銀行の政策の予測が難しくなります。米経済に対するFRBの強気見通しは、ワクチン普及によるコロナ感染抑制が前提条件になっています。ところが変異株ウイルスの拡大が止まらなければ、この前提が崩れてしまうおそれがある。それだけではなく、ワクチン普及で経済再開という、これまで世界が信じていた公式が、果たして正しかったのかという疑問も起きる。7月28日にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されますが、緩和縮小が正式に発表される可能性は後退しました。