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 6月の米雇用統計の結果を一言で表すなら、「良好」。しかし良すぎるほどではない。

 ワクチンの普及と経済再開で、コロナの被害の大きかった娯楽や飲食業に従業員が次々と戻っていることを反映して、NFP(非農業部門雇用者数)は、85.0万人増(5月58.3万人増、4月27.8万人増)となりました。しかも大きな賃金上昇圧力は見られない。平均労働賃金は前月比0.3%増(5月0.4%増、4月0.7%増)。雇用者数は順調に増えているが、インフレ急上昇の心配もない。

 FRB(米連邦準備制度理事会)にとっては、まさに「ちょうどいい」。米国経済は順調に回復しているが、FRBのブレーキ(利上げ)が必要なほどのスピードはない。労働参加率が横ばいのなかで失業率がわずかとはいえ上昇したことは、雇用市場が引き続きFRBの支えを必要としていることを示しているわけで、FRBのハト派メンバーにとっては、緩和縮小を急がない理由になります。少なくともタカ派の連銀総裁はあまり強気に出られなくなりました。FRBが緩和縮小の準備を進めるには、米長期金利が下げた今がチャンスともいえます。