今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは111.50

下値メドは108.35

世界貿易がより効率化、ローカル化することで、法人税低減の魅力は薄れていく

 8日(木曜)のドル/円は、大きく「円高」。高値110.67円、安値109.53円、1日の値幅は1.14円。

 茹(ゆ)でガエル円高でじわじわ下がるのかと思っていましたが一気に下げました。値幅も今年で一番大きい。カエルは無事逃げ出せたでしょうか。

 マーケットでは円やスイスなどのセーフヘブン通貨が買われ、資源通貨の豪ドルやカナダが売られました。この動きは、リスクオンで積み上がった円安のリスク落とし(リスク許容度の縮小)と考えます。今はまだ調整要素が強いようですが、他の金融市場の調整が続くならば、リスク落としからリスクオフの円高へと発展することも覚悟したほうがいいでしょう。

 この日のドル/円は110.61円からスタート。東京時間朝に110.67円まで上げましたが、その後は売り。東京時間午後に110.50円、そして欧州時間に110円ちょうどを下に抜けるとNY時間には109.53円まで下落。終値は109.76円(前日比▲0.86円)。終値の109円台はほぼ1ヵ月ぶりの円高水準。

 ドル/円にたびたび見られるパターンとして、米雇用統計の直前(直後)がその月の高値で、その後は月末まで下落が続くことがあります。今月は雇用統計発表の日に111.63円まで上昇して、約1年3ヵ月ぶりの円安水準に位置していました。「雇用統計の日が高値」が今月も当てはまるかわかりませんが、他の市場の調整が完了するまでは、ドル/円が単独でこの水準に戻るのは難しいでしょう。これまでのサポートだった110.40円に戻して中立、それまでは下落リスクのほうが大きいと考えます。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

主要指標 終値

出所:楽天証券作成

今日の一言

親切にしなさい。あなたが会う人はみんな、厳しい闘いをしているのだから - プラトン

Rock With You 

 6月の米雇用統計の結果を一言で表すなら、「良好」。しかし良すぎるほどではない。

 ワクチンの普及と経済再開で、コロナの被害の大きかった娯楽や飲食業に従業員が次々と戻っていることを反映して、NFP(非農業部門雇用者数)は、85.0万人増(5月58.3万人増、4月27.8万人増)となりました。しかも大きな賃金上昇圧力は見られない。平均労働賃金は前月比0.3%増(5月0.4%増、4月0.7%増)。雇用者数は順調に増えているが、インフレ急上昇の心配もない。

 FRB(米連邦準備制度理事会)にとっては、まさに「ちょうどいい」。米国経済は順調に回復しているが、FRBのブレーキ(利上げ)が必要なほどのスピードはない。労働参加率が横ばいのなかで失業率がわずかとはいえ上昇したことは、雇用市場が引き続きFRBの支えを必要としていることを示しているわけで、FRBのハト派メンバーにとっては、緩和縮小を急がない理由になります。少なくともタカ派の連銀総裁はあまり強気に出られなくなりました。FRBが緩和縮小の準備を進めるには、米長期金利が下げた今がチャンスともいえます。

今日の注目通貨: 

ドル/円: 7月の予想レンジ ↑112.56円  ↓108.70円

 7月のドル/円のピボット(ブルベア判断の分かれ目)は110.63円。110.63円より上ならばドル買い優勢、110.63円より下ならばドル売り優勢。

114.55円 : 2018年 高値 

113.30円 : 第4レジスタンス(HBO)

112.56円 : 第3レジスタンス
112.40円 : 2019年 高値(19年04月24日)
112.22円 : 2020年 高値(20年02月20日)

111.83円 : 第2レジスタンス
111.66円 : 2021年 高値
111.60円 : 第1レジスタンス

110.63円 : ピボット

109.67円 : 第1サポート
109.44円 : 第2サポート

108.70円 : 第3サポート
108.18円 : 2021年 61.8%

107.96円 : 第4サポート(LBO)
107.32円 : 2017年 安値 LAST  
107.12円 : 2021年 平均値

106.05円 : 2021年 38.2%

104.61円 : 2018年 安値   
104.01円 : 2019年 安値

102.59円 : 2021年 安値

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成