Mama Mia!  

 この日の米10年債利回りは一時1.3%を下回る場面がありました。投資家の多くが、2.0%目指して上昇すると予想していた米長期金利が低下した一因として、米国で拡大しているデルタ変異株ウイルス感染がいわれています。米国内で解析された陽性サンプルのうち30%がこのデルタ型であり、現在ではすでに50%以上まで蔓延していると予測されています。経済再開が遅れる、あるいは景気回復のピークが低い水準で終わってしまうという懸念が金利低下につながっている可能性があります。

 しかし、その一方でドルはドル高という、説明がつきにくい相場になっています。ユーロ/ドルは1.18ドル割れ、豪ドルは0.74ドル台後半と、共に対ドルでの年初来安値に接近しています。

 この日公表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録によると、FRB(米連邦準備制度理事会)は緩和縮小に向けて動き始めましたが、議論はまだ始まったばかりで、いつ公式発表するかなど具体的な日程は示されませんでした。

 FRB米経済に対して強気見通しを持っているのは、ワクチン普及によるコロナ感染抑制が前提になっています。デルタ変異株ウイルスの拡大はこの前提にとって大きなリスクとなります。その意味で、FRBが今月、緩和縮小を発表する可能性は後退したといえます。

 ただ、来週には13日(火曜)に6月の米CPI(消費者物価指数)の結果によってはマーケットのセンチメントがまた大きく利上げに傾く可能性もあります。14日はパウエルFRB議長の議会証言も予定されています。