米景気、雇用に過熱感はないが、サービス業景況・インフレに過熱感も

 7月2日に、6月の米雇用統計が発表されました。非農業部門の雇用者数は前月比85万人増と、順調に回復が続いています。

 ただし、失業率は5.9%と前月比0.1%増加。コロナの影響が出る前の2020年2月の3.5%と比べると、まだ高い水準です。雇用のデータからは、すぐにテーパリング(金融緩和の縮小)を迫られるほどの回復にはなっていないと考えられます。

米雇用統計・非農業部門雇用者増加数(前月比):2019年1月~2021年6月

米雇用統計・完全失業率:2014年1月~2021年6月

出所:米労働省

 雇用統計に過熱感がないことを受け、米長期金利は1.4%台へ低下したままです。FRB(米連邦準備制度理事会)が6月16日に「2023年に2回の利上げあり」という予測を発表したことで、上昇した1~5年の金利も、やや弱含みました。

米10年・5年・2年・1年金利推移:2021年1月2日~2021年7月2日

出所:QUICKより作成

「米景気好調でも、すぐ金融緩和が終わることはない」と都合の良い解釈が広がったことが、米国株が最高値を更新した原動力です。ただ、ISM景況指数はコロナ前の水準を超えており、米景気が過熱リスクを抱えた状態には変わりありません。

米ISM製造業・非製造業景況指数:2018年1月~2021年6月(非製造業は5月まで)

出所:米ISM供給管理公社

 6月のISM非製造業景況指数は、7月6日(日本時間23時)に発表される予定です。

 消費者物価指数(総合)の前年比が5月に前年比+5%に上がっていることも、懸念材料となっています。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、一時的と解釈していますが、果たして本当にそうか今後の推移に注意が必要です。

米消費者物価指数、前年比(%):2020年1月~2021年5月

出所:ブルームバーグより作成

 6月の米消費者物価指数は、7月13日(日本時間21時30分)に発表される予定です。