To be, or not to be 

FOMC(米連邦公開市場委員会)は「タカ派かハト派か、それが問題だ」

 FOMCが6月の会合で公表したドットチャート(政策金利の見通し)が投資家を混乱させています。ドルショート戦略を続けるべきか、やめるべきか。投資家は、自分にとって都合の良い解釈をしてポジションをつくり直していますが、方向は定まっていない。全体としていえば、マーケットのドルショートの縮小は確認されているが、純ロングに切り替わったという報告はまだありません。

 6月中旬からのドル/円を振り返ると、16日のFOMC会合後にドル全面高の展開となったマーケットでドル/円は111円手前まで上昇。ところが、その後一転して109円台まで下落。

 ドル/円に異常事態が発生したわけではない。この動きはクロス円が犯人。円由来の円高ではなかった。FOMCで披露された「タカ派的」ドットチャートが広範なドル買いとドルの買い戻しを巻き起こした結果、ユーロや豪ドル、ポンドなど主要通貨はドルに対して売られました。しかし同時に円に対しても売られたので、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円が下落。円から見ると、ドルに対しては「円安」だけれど、ユーロや豪ドル、ポンドに対しては「円高」。いわば巻き添えをくらって円高になったようなものです。

「米国のインフレは「顕著に加速」しているが、「一過性」」パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長はFOMCの翌週、議会証言でこのような見解を示しました。米経済が回復すれば緩和政策の助け不要になる。その意味では緩和縮小を検討する時期にさしかかっているわけです。一方で、インフレは一過性と考えているので、予防的な利上げなどの対策の緊急性を感じていない。これがFRBの考えですが、問題はいつまでが「一過性」なのかということ。年末までなのか、1年後なのか。期間を予想することはほぼ不可能だとパウエルFRB議長も認めています。

 今年の経済指標は、コロナの影響が大きかった1年前との比較で大きく上昇しました。もしインフレがFRBの考えるように一過性ならば、次は逆のことが起こる。つまり、来年の経済指標は今年に比べて大きく下落することになるはずです。来年はインフレではなく「デフレ」を心配することになります。