If You Leave Me Now

 6月のFOMCで、FRBは緩和縮小の議論を始めることを認めました。とはいえ、今はまだ「考え始めることを考え始めた」段階で、実施はまだ先です。それまでに米経済の状況が変われば、前倒しもあるが、延期の可能性もあるということです。

 FRBが、新型コロナ対策として実施している、過去最大規模の量的緩和政策。その量的緩和における金融資産の買い入れ額を順次減らす、いわゆる緩和縮小を開始する条件とは何か?

 第一の条件は、当然ですがインフレです。インフレ率が持続的に上昇して、FRBの目標値を上回ること。夏場にかけての物価上昇は、緩和縮小を前倒しするための必要条件。5月CPI(消費者物価指数)は、前月比+0.6%、前年比+5.0%という強い結果で、2008年8月以来、約13年ぶりの大幅上昇を記録しました。なかでも中古車価格+7.3%の大幅上昇と値上がりが目立ちました。

 しかし、これでもまだ十分条件とはいえない。FRBは、雇用市場が弱いままで、緩和縮小に踏み切ることはしないからです。雇用の持続的増加と賃金の上昇が確認できて初めて条件が整うことになります。