Say,Say,Say

 今回のFOMC(米連邦公開市場委員会)のサプライズは「ドットチャート」でした。ドットチャートとは、FOMCメンバーが予想する米国の政策金利FF(フェデラルファンド)レートの見通しで、毎年3、6、9、12月に公表されます。それぞれがひとつの点(ドット)として散布図になっているため、このように呼ばれています。

 ドットチャートのメディアン(中央値)は「2023年末までに2回利上げ」。18名のFOMCメンバーのうち13名が、2023年末までに少なくとも1回の利上げを予想しています。そのうち7名は2022年末までの利上げを予想。前回3月の時点では「2023年末までゼロ金利維持」が中央値だったことを考えると、大きな変更です。

 しかし、です。FOMCが緩和縮小方向へ大きく転換したのでしょうか。たしかに緩和縮小の議論開始は認めましたが、まだ検討段階に入ったばかり。決定したわけではない。FOMC声明文には「FOMCは緩和的な金融政策の姿勢を維持する」とあります。一方でパウエルFRB議長は「ドットチャートはメンバー個人の見解であって、FOMCの政策予定ではない」と繰り返し述べています。マーケットが期待するほどFOMCの考えが変化したわけではないようです。