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 今回のFOMC(米連邦公開市場委員会)のサプライズは「ドットチャート」でした。ドットチャートとは、FOMCメンバーが予想する米国の政策金利FF(フェデラルファンド)レートの見通しで、毎年3、6、9、12月に公表されます。それぞれがひとつの点(ドット)として散布図になっているため、このように呼ばれています。

 前回3月の時点では、FOMCメンバーによる金利予想のメディアン(中央値)は「2023年(今後2年間)末までゼロ金利維持」。「2023年末までのゼロ金利解除」を予想していたのは18人中7人。FRB利上げは2024年というのが市場のコンセンサスになっていました。

 ところが今回、その金利予想の中央値が、ゼロ金利維持から「2回利上げ」まで一気に2段階シフトアップ。米指標が強いこともあって、FRB(米連邦準備制度理事会)がタカ派的になるとは考えられていましたが、これほど急激な変更が起きるとはマーケットは予想していなかった。

 ドルが買われ、米10年債利回りは1.57%に上昇。しかし、下のチャートを見てわかるように、米長期金利はこの数週間下げていた分が元に戻っただけであって、利上げ前倒しを織り込んだとまではいえません。パウエルFRB議長は「ドットチャートはメンバー個人の見解であって、FOMCの政策予定ではない」と述べています。