テーパリングいつ?FRBの金融政策変更を読む

 さて、現在、テーパリングの議論開始あるいは時期が注目されていますが、これらはFRBの金融政策変更の流れの中では、どのような位置付けにあるのかを確認したいと思います。

 FRBは現在、金融緩和政策を取っています。政策金利はすでに「ゼロ金利」なので、次の政策として市場に資金を供給する「量的緩和政策」を取っています。

 現在、FRBは、MBS(米国債と住宅ローン担保証券)を合計で毎月1,200億ドル(約13兆円)購入しています。そしてテーパリングとは、この資産購入額を縮小するということです。

※テーパリング(Tapering )のテーパー(Taper)とは「縮小」という意味のことです。

 年8回開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)では、この金融政策を維持するのか変更するのかということが議論されています。FRBの現在の政策は金融緩和政策なので、政策変更とは、金融緩和から金融引き締めということになります。その流れとしては、

「(1)量的緩和→(2)量的緩和縮小開始→(3)量的緩和縮小終了→(4)利上げ開始→(5)保有資産の段階的縮小開始」となります。

 現在、焦点となっているのは、緩和から緩和縮小である「(2)量的緩和縮小開始」の時期がいつになるか、ということですが、さらに(2)の前に「(a)縮小検討の議論開始」→「(b)縮小を示唆」→「(c)FOMCで縮小開始を表明」→「(2)量的緩和縮小開始」となります。

 先程触れた、FRBのクラリダ副議長やクオールズ副議長の発言は、「今後数回の会合」でのテーパリング議論開始という内容ですので、「(a)縮小検討の議論開始」の時期について言及したということになります。しかも、「今後数回の会合で」ということですので、2~3回ということであれば、6月、7月、9月のFOMCで議論がはじまるということになります。「(b)縮小を示唆」「(c)FOMCで縮小開始を表明」は、まだまだ先の話ということになります。

 そして、このスケジュール感に「雇用回復」という最大テーマを考慮すると「縮小開始」まではかなり時間がかかりそうだということになります。ただ、雇用回復については留意したい点もあります。