損切り貧乏を回避できない!NG思考

 損切り貧乏に悩んでいる個人投資家はとても多いので、SNS(交流サイト)などでも損切り貧乏の解決策について、さまざまなことが語られています。

 それらは一見すると確かに正しいように思えるのですが、実際には個人投資家の大部分が実践できない、あるいは実は根本的に危ない考え方なのではないか、と筆者は思っています。

 解決策を実行しているつもりが、そうなっていないのであれば、それは解決策になりません。十分注意してください。

損切りNG思考(1)上昇トレンドの時は損切りをしないようにする

 1つ目のダメな解決策は、「株価が上昇トレンドにある間はそもそも損切りをしなくてよい」というものです。

 確かに、株価チャートを見ると、ところどころ下がっている時期があるものの、長期的に見れば株価は右肩上がりに上昇している、という銘柄は数多くあります。

 そうしたチャートを見せられながら説明を受けると、「なるほど。株価が右肩上がりの間は、売らなくても株価はまた上昇するから、損切りは確かに不要だな!」と思ってしまうのではないでしょうか。

 でも、これは大いなる勘違いであり、極めて危険な考え方です。

 確かに、過去のチャートを見て「中長期的に上昇している間は売らなくてよい」と言われれば、その通りです。

 しかし、足元で保有株の株価が下落しているとき、それが上昇途中の単なる押し目なのか、天井をつけて大きく下げに向かうのかは、実際は分からないものです。

 もちろん、上昇途中の単なる押し目なら、持ち続けていれば株価は上昇するので、事なきを得ます。でも、天井を付けた後の下げの局面に入っていたならば、持ち続ければ持ち続けるほど株価は下落してしまいます。上昇相場ではないことが分かった時点で持ち株を損切りしようとしても、すでに株価は大きく値下がりし、多額の損失を被ってしまいます。

 怖いのは、何年もの間、長期的に上昇を続けているときです。多少株価が下がっても損切りせずに持ち続けていれば株価は元に戻る……これを何度も何度も経験していると、それが今後も未来永劫続くと勘違いするようになります。

 でも、残念ながら株価は天井を付けると、持ち続ければ持ち続けるほど損が膨らむという、無慈悲な下落をするものなのです。

 ですから、(1)の解決策は、多額の損失を被ってしまうリスクが高いという面で、筆者はお勧めしません。