Eye In The Sky

「米経済は良好。FRB(米連邦準備制度理事会)がタカ派に変身する必要がない程度に順調。」これが6月前半に発表された米経済指標を見てマーケットが出した結論です。

 5月雇用統計は、決して悪くはなかった。しかしパウエルFRB議長が望んでいるような、「月間100万人程度の雇用を数ヵ月間連続で」創り出すほど強くもない。

 5月のCPI(消費者物価指数)は、2008年8月以来、約13年ぶりの大幅上昇を記録。しかし、上昇の一部は比較基準となる去年の物価がコロナの影響で非常に低かったせい。こうしたベース効果によるCPIの伸びは、今月をピークに徐々に弱まっていく。つまりインフレは「一過性」の可能性。

 今週はFOMC(米連邦市場委員会)が開かれます。マーケットの注目は、FRBが緩和縮小に向けた議論を開始するかということ。ドル/円の6月の高値は110.33円、安値は109.19円。平均値は109.76円。6月前半の米指標を全て織り込んだ、現在のドル/円の水準はほぼ平均値の付近。FRBの緩和縮小議論、するかしないかは、まだ五分五分とマーケットは考えているようです。