Breakfast In America

 BLS(米労働省労働統計局)が先週金曜日に発表した雇用統計では、5月のNFP(非農業部門雇用者数)は55.9万人増えました。数字は悪くなかったのですが、2ヵ月連続で予想を下回る結果となりました。またその前日に発表された民間機関ADPによる雇用データが97.8万人増という数字で期待が高まっていた分、残念感が前面にきました。

 雇用統計に限らず、経済指標の予想はとても難しくなっています。多くの産業は、新型コロナのために深刻な不況に陥りました。その一方で過去最高益を出している業種もあります。

 過去の経済モデルに基づいた予想は外れ、過去データは頻繁に修正されています。「現在の経済サイクルは、これまでわれわれが経験してきたものとは別物なのだ。」このように指摘するエコノミストもいます。

 例えば、経済に季節感がなくなった。ロックダウンの去年は、夏なのに冬のように自宅に閉じこもって過ごしました。移動制限が緩和されて、春なのに夏以上に賑わったところもある。季節による人々の行動を予測することができなくなっているのです。

 ステイホーム期間中に、世界では爆発的な起業ブームが起きています。日本でも、クイズ問題を解くことに興味を持たない大学生が様々なビジネスをスタートしている。ところが、これらの数字は雇用統計には正確には反映されていない。ギグエコノミーも統計には表れない。

 雇用統計の数字はますます不完全になり予測困難になっています。しかし全体的な方向としては、経済が順調に回復しているということ。これは良いことです。