夕凪さんが最高値を更新した株を狙う理由

──ツイッターなどで早く情報を得て、その銘柄を買うかどうかを検討するわけですね。

 そうなんですが、最近は少し変わってきています。僕はイベント投資をメインにしていますが、それとともに新高値がついた銘柄を狙うという投資法も実践しています。つまり、最初にまず新高値銘柄を調べ、その中からイベント投資に適した銘柄を選択するという手順を踏むことが多いんです。

──新高値銘柄とはなんですか。

 株価が過去の最高値を超えた銘柄のことです。昨年からの最高値を超えた価格を「昨年来高値」、今年の最高値を超えた価格を「年初来高値」、上場後の最高値を超えた価格を「上場来高値」などといいますが、これらを記録したときに買うのです。

──過去最高に株価が上がった株では、下落のリスクが気になりますが。

 その企業に何かが起きなければ高値を更新することはありません。新しい事業が軌道に乗りそうとか、業績がV字回復したとか、何かポジティブな動きがあったから高値を更新するわけです。ですから、一度高値を更新すると、二度、三度更新が続くことがけっこうあるんです。

 しかも、たまにですが、とんとん拍子でそのまま、株価が2倍、3倍に跳ね上がることもあります。そうなれば高値で買ったとしても大きな利益を獲得することができるわけです。

──でも、株価が安いときに買っておけば、もっと、もうかりますよね。

 もちろんです。株価が安いときに買った銘柄がどんどん上がって、高値を更新したりしたら万々歳でしょう。しかし、株価が上昇するたびに、過去に高値で買った人からのやれやれ売り(株価戻り待ちの売り)が降ってくるので、株価に勢いがつきにくく、失速することも多いのです。高値が更新されたタイミングで買ったほうが、やれやれ売りが少ない分、上昇に勢いがつきやすいということです。

──安いときに買って大もうけする、それがベストであることには間違いない。ただ難易度が高い。それより多少もうけは減るが、高値が更新されたタイミングを狙い、勝ちやすさを目指すベターな方法ということですね。

 はい、そういうことです。

──これまでの投資法は順張りですよね。逆張りすることもあるのですか。

 株価が下がっているときに買う、逆張りを好む投資家も多いと思いますが、僕は苦手なんです。含み損に耐えきれない。すぐに上昇に転じればいいけれど、思惑に反して下がり続けたときの対応が難しいのです。

 逆張りは一般的に損切りすると利益率が落ちます。期限や移動平均線などで仕切る方がいい結果が出ます。でも、仕切るまでにどんどん含み損が増える可能性があることに、私は耐えきれない。ナンピン買い(※)する手もありますが、その結果、さらに損失を大きくしてしまったら、投資が嫌になる気がします。

※ナンピン買い:株価が下落したときに追加買いして、平均取得単価を下げること

──取り返しのつかないくらいマイナスを背負ってしまうこともある?

 そう、一つの逆張りに全力投資すると大負けする可能性があります。逆張りはレバレッジをかけては基本ダメなのです。数少ない大きな損失を、他の多くの小さな利益でカバーするのが逆張りです。

 これは宝くじの収益構造と同じです。1等のための大金を支払うけれど、その分たくさんのハズレで回収する。つまりはお金ある人向けの投資手法です。ですので、資金量が限られている個人投資家は1等を狙いにいく順張りの方が合っていると思います。

 逆張りは成功率がとても高いし、利益が出たら「我慢した甲斐があった」と投資の満足感が高いのは理解できるのですけどね。でもレバレッジをかけたら破綻しかねないので、少額で行くべきだと思います。その分、利益額は低くなりますが。