DC加入者はいい意味で「ほったらかし投資」ができているとされていた

 DC(確定拠出年金)制度の利用者が、合計で1,000万人に近づきつつあります。

 企業型DCの加入者は2021年2月末段階で約750万人と、この4月の新規導入企業の増加、および導入済み企業への新入社員の増加を考えると、数十万人の上積みが予想されます。

 これに個人型DCである、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)の加入者数が2021年3月末段階で約194万人となっています。

 合計すると約944万人となり、ついに1,000万人の大台が見えてきました。

 DC制度の利用者は、おおむね合理的な投資行動を取ってきたとされます。一部に、リーマン・ショックの後、あわてて売却するような人はあったものの、多くの人はあせって損失確定をすることもなく、新規掛け金については、淡々と積立投資を続けていました。

 中長期投資を考えるなら、短期的な売買は必要ありません。売買回転率が低いことも、DC制度の特徴とされています。

 実際、長期・積み立て・分散投資がDCでは機能しており、多くの人がプラス運用に成功している状態が、R&I(格付投資情報センター)の専門誌「年金情報」などでは報告されています。

 ところが、加入者が1,000万人に近づき、国民の利用率が高まっていく中で、こうしたDC制度のよいところを生かせず、合理的な行動を取ることができなくなっている人も増えてきた、という懸念があります。