「売って、結局また買う」?「今ごろようやく買う」?

 ここで紹介されているのは全体での売買動向ですから、個人がみな同じように動いたというわけではありません。個人ベースではいろんな動きが考えられます。

 しかし、以下のようなケースで投資行動があったとしたら、これは賢いといえるでしょうか。

ケース 2020年10~12月 2021年1~3月
1 売り 動かず
2 動かず 買い
3 売り 買い

ケース1:2020年10~12月「売り」→2021年1~3月「動かず」

 結果として振り返れば、株価が上がり始めたことをみて売った(おそらく利益確定)ことはいいが、その後、さらなる上昇で得られたはずの利益を取り逃したともいえます。

 また、この後、何も行動しなければ利益確定した分(DCでは預金などの元本確保型商品にしておく)については、上昇は期待できないままとなります。

ケース2:2020年10~12月「動かず」→2021年1~3月「買い」

 こちらのパターンの多くは、投資していなかった分(元本確保型商品を保有していた分)があった人が新規投資を行ったという流れです。

 DC全体では投資信託と預貯金などの割合がほぼ5:5となっていますから、まだまだ多くの人が投資余地を残しています。

 しかし、日経平均株価が数十年ぶりの高値だからと軽い気持ちで投資割合を高めたのなら、ちょっと心配です。5~10%下がるくらいはよくあることですが、そのとき長期投資を見据えて持ち続けることができるでしょうか。

ケース3:2020年10~12月「売り」→2021年1~3月「買い」

 もっとも不毛な投資行動はこれかもしれません。

 2020年末ごろ、これは高値、利益確定とばかりに売ったものの、その後の株価のさらなる上昇を見て、また買い直しているパターンになります。これなら何もせずに保有しつづければ、その間の上昇分も手元に納めることができたわけです。

 DC専用ファンドは信託財産留保額を取らないことも多く運用益は非課税ですから、それらのコストは中立的とはいえ、売買に動いた分、やはりムダなこととなっています。

 実際にはこれ以外にも、いろんな売買パターンがありえます。いずれにせよ、積極的に投資行動を見せたDC加入者が、うまくない結果に陥ったパターンがありそうです。