次に超えなければならないハードル
さて、先日公開された4月のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録の中に「FOMC参加者のうち数人のメンバーが、もし米国経済が委員会の目標に向けて急速な進歩を示した場合、ある時点で資産買い入れプログラムのペースを減速させることに関する討議を始めた方がいいと提案した」という記述が見られました。
資産買い入れプログラムのペースを減速させるとは、すなわちテーパリング(金融緩和の縮小)を意味します。
これをいつ実施し、どのように市場参加者に説明するか? これが目下、一番重要な課題だと思います。
FRB(米連邦準備制度理事会)は、大きな方向転換をする場合、まずFED(米国の中央銀行制度)ウオッチャーと呼ばれるFRB番の新聞記者に観測記事を書かせるというような方法でニュースを小出しにリークし、市場の反応を見ます。
しかし現在は、市場関係者が信頼を置いているFEDウオッチャーが不在であり、そのようなインフォーマルなやり方でFRBが考えていることをシグナルするのがとても難しくなっています。
前回、FRBが大きな方向転換を表明したのは2013年5月ですが、そのときは「テーパータントラム」と呼ばれるマーケットの波乱がありました。
このときは、当時のFEDウオッチャーである「ウォールストリート・ジャーナル」のジョン・ヒルゼンラース記者が表明前にいくつか観測記事を書き、「下ごしらえ」がなされた上でベン・バーナンキFRB議長が議会証言を通じてテーパリングをほのめかしました。そのような準備が整っていたにもかかわらず、市場は動揺したのです。
ひるがえって今回を考えた場合、そのような「下ごしらえ」は全然行われていません。つまり市場参加者が唐突感を抱きやすい状況になっているのです。
この部分をまず改善する必要があるように思います。