S&P500のEPSは+44.9%も成長

 前年同期の数字が悪すぎたことで比較が容易になり、2021年第1四半期のS&P500種指数採用銘柄のEPS(1株当たり利益)は+44.9%も成長しました。

 これらのことは、いまこの瞬間が景気改善の変化率でほぼピークに差し掛かっていることを示唆しています。

S&P500四半期EPS成長率(前年比、ボトムアップ方式)

単位:%
出所:ファクトセットデータより筆者作成

景気改善の変化率と投資態度

 投資家はこの変化率に多大な関心を払います。変化率が増大しているときは果敢に上値を追いかけます。しかし変化率が鈍化しはじめると警戒心を高めます。

 いまの局面は、変化率が拡大から縮小へとピークアウトする瞬間であり、こういう場合、投資家は(いったい、いくらの値段を払ってよいのかわからない)というふうに、妥当バリュエーション(投資尺度)に関して、ためらいが生じやすい局面です。

 ましてや、株式のバリュエーションに影響する重要なファクターである長期金利は上昇気味です。

 つまり、いまは(1)景気改善の変化率の鈍化と、(2)長期金利の逆風という二つの要因に挟み撃ちに遭っている状況なのです。

 このところ何を買ってもカンタンに儲(もう)けさせてくれない難しい相場になっているのは、上記のような理由によります。