FOMC議事録  夏をあきらめて

 今朝、 FRBは4月27、28日に行われたFOMC会合の議事録を公表しました。FOMCの総合的見解は、「米国経済は、ゴールとする最大雇用と物価安定からまだ遠く離れている」です。

 4月の会合でFOMCは景気見通しを引き上げました。しかし議事録によると、移動制限解除とソーシャル・ディスタンス緩和の効果が今後薄れてくるため、再び成長が鈍化するとの慎重です。

 一部のメンバーからは、今後の会合において「緩和縮小」の議論を開始すべきとの意見が出ていたようで、これがマーケットの関心をひきました。今後とはいつか?早ければ7月、という見方も出ています。もちろん議論であって実施はその先ですが、FRBがその方向へ動き出すことが重要であり、マーケットにとっては衝撃なのです。

 インフレ見通しについては、多くのFOMCメンバーは、今年一時的に上昇するが、原材料の供給不足の解消に伴い落ち着いていくとの認識。ただし一部の業種においては、供給網寸断の影響が予想より長く残り、コスト上昇につながっているようです。

 製造業では、半導体チップなど部品供給不足に加え、「労働力の不足」が回復のネックとなっているとの指摘もありました。とはいえ、このFOMC会合は、(非農業部門雇用者の増加数が予想の約1/4しかなかった)4月雇用統計の前ですから、今はメンバーの見解も変わった可能性があります。その意味で、緩和縮小議論の開始時期と絡めて今後は連銀総裁の発言内容にも注意が集まるでしょう。