今年、バリュー優位が続くと考える2つの理由

 バリュー優位は、今年1年くらい続くと予想しています。その理由は、以下2点です。

【1】バリュー・グロースのバリュエーション格差がいまだに大きい
 2021年に入ってからバリュー優位が続いているとは言え、それはごく短期的なことです。2017年から2020年まで4年、グロース株ばかりが上がりバリュー株が低迷する時期が続いた結果、グロース株はやや割高、バリュー株はかなり割安になっていると判断しています。

 したがって、以下のイメージ図で示した、割安株相場が今年いっぱいは続くと予想しています。

成長株相場から割安株相場への転換(イメージ図)

出所:筆者作成

【2】「20世紀に逆戻り」の経済環境が今年いっぱい続くと予想
 割安な株を買えば、すぐに見直されて株価が上昇するというわけではありません。「バリュートラップ(割安のワナ)」と言って、割安株の割安がいつまでも修正されず、株価低迷が延々と続くこともあります。

 割安株が見直されるには、なんらかのトリガー(きっかけ)が必要です。私はそのトリガーがすでに起こっており、それが今年いっぱい続くと考えています。それが、今年1年、バリュー優位が続くと予想する、もっとも重要な理由です。そのトリガーとは、一言でいうと、「20世紀に逆戻り」の経済環境です。

 今、米国などでリベンジ消費(コロナ禍でできなかった消費がまとめてドンと出てくること)が盛り上がっています。一時にドンと消費が出るため、「モノ」が一時的に不足しています。そのため、資源価格が上昇、インフレが復活、製造業の景況が急激に回復し、米長期金利が上昇しつつあります。

 この環境は、一言でいうと、「20世紀に逆戻り」です。かつて、割安株が活躍した、1980年代後半や、2000年代前半の環境に近くなっています。

 その結果、今年は、私が「3大割安株」と呼んでいる「金融株・資源関連株・製造業」の業績モメンタムが強い年になると予想しています。一時的に、金融株・資源関連株・製造業が活躍する20世紀の経済環境に戻ると考えています。

 過去に、日本株でバリュー株優位が長く続いた時は、いずれもインフレや金利が上昇した時でした。代表的なものに以下があります。

◆1980年代後半のバリュー相場
円高と貿易戦争でグロース株(ハイテク株)がさえない中、内需中心にバブル景気が盛り上がり、バリュー株が活躍。

◆2000年代前半のバリュー相場
金融株や重厚長大産業が、構造改革で復活。ブリックス(中国・インド・ブラジル・ロシア)と言われる新興国の成長加速で、資源価格が急騰、世界的にインフレ懸念が強まり、金利が上昇。

 以上の理由から、今年前半の日本株市場では、景気敏感バリュー株のパフォーマンスが強くなると考えています。これから始まる「業績相場」に備えて、今年増益率が高く、PERが低く、配当利回りが高い「景気敏感バリュー株」を買っていくべきと考えています。