5月からのマーケットのテーマは? Good Times Bad Times

 4月までは「世界経済、コロナから立ち直る」が金融マーケットのテーマでした。主演はドル。コロナに打ちのめされていた世界経済にとって転機となったのは、2020年末に大手製薬メーカーがワクチン臨床実験に成功したこと。それ以来、感染者の多さはマーケットにとっては重要ではなくなり、かわってワクチン接種率が経済正常化のバロメーターとなりました。接種率の高い国の経済はコロナからの回復も早いということで、マーケットはドル高、ポンド高に動いた。欧州も遅れを取り戻しています。

 ワクチン接種が世界で順調に展開するという前提に立った時、夏に向けてのテーマは「金融政策の正常化」、すなわち各国中央銀行の「緩和縮小」になります。緩和政策の終了を発表した国の通貨は強くなる。利上げ時期の前倒しを示唆したカナダドルは対ドルで2018年以来の高値圏に上昇。次はどこの中央銀行になるかをマーケットは探しています。

 もちろんFRB(ドル)がここでも一番注目なのですが、アメリカ例外主義を掲げて4月まで上昇し続けてきたため、マーケットは、ドルの次の通貨を探しているのです。そのレーダーがキャッチしているのがRBA(豪ドル)であったりします。人口比では感染者が圧倒的に少ない日本が、ワクチン接種を早くから始めていたなら、日本経済は世界に先駆けて回復していたかもしれない。そう考えると残念です。

 しかし、感染力が強く、しかもワクチン効果の落ちる変異株の急速な拡大が懸念材料となっています。コロナ対策を一から見直すことになれば、マーケットのテーマも変更されることになります。インドなど新興国の感染拡大はサプライチェーン修復の障害となり、世界景気回復の遅れにつながる。米国立アレルギー感染症研究所であり免疫学者のファウチ博士は、「ウイルスは変異し続け、遅かれ早かれ、誰もが変異株に感染することになる」と警告しています。

今日の注目通貨:豪ドル/円

豪ドル/円:レンジ予想 ↑85.85円 ↓83.92円

 豪ドル/円のピボット(ブルベア判断の分かれ目)は、84.89円。
84.89円より上ならば豪ドル買いが優勢、84.89円より下ならば豪ドル売りが優勢と判断します。

88.12円 : 2018年 02月 高値  

87.05円 : 第4レジスタンス (HBO)

86.45円 : 第3レジスタンス

85.85円 : 第2レジスタンス
85.80円 : 2021年 05月 高値(2021年 高値)
85.67円 : 第1レジスタンス
85.09円 : 05月 61.8%

84.89円 : ピボット

84.87円 : 05月 平均値
84.65円 : 05月 38.2%
84.10円 : 第1サポート

83.94円 : 2021年 05月 安値
83.92円 : 第2サポート 
83.32円 : 第3サポート

82.72円 : 第4サポート  (LBO)

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成