利他の精神、道徳心の視点から投資先を選ぶ

 私は投資をする上で、次のようなことができると思っています。

 鮎川が「我利、背徳、圧制では事業を行っていった先の成功はない」と言っているとしたら、経営者の我利、圧制が強く出てしまっている企業(例えば、役員報酬が極めて高く、従業員の給料は低い企業)、道徳に反している企業(収益優先が行き過ぎていて、人としての心が欠けている企業)には投資をしないことです。

 逆に利他の精神で道徳心をもち、従業員を抑圧していない企業であれば、成功していくということにもなるので、そのような企業に投資をすることです。それが結果として、資産運用の成功につながることになります。

 1つ見極めるポイントをお伝えしましょう。もし、経営者が「私の会社」という発言をしていたら、それは自我が強いと言えるでしょう。利他の精神が強ければ「私の会社」という発想にはそもそもならずに、「うちの会社」「私たちの会社」もしくは「みんなの会社」という言い方になっているでしょう。

 私は、鮎川義介のような崇高な念い(おもい)をもった経営者が増えれば、世の中はより良くなっていくと信じています。私は、我利ではなく利他の精神、道徳心をもち合わせた企業が大好きです。たまに、上場企業の経営者の方とお話をする機会がありますが、利他の精神、道徳心をもち合わせた方と会うとものすごく感動しますし、心がとても清らかになり、すがすがしい気分になります。

 投資をする上で、単に自分が儲かるかだけではなく、その企業が鮎川義介のような念いをもった企業か、利他の精神、道徳心をもった企業かという視点も加えて選んでみるのも良いのではないでしょうか? 私は、それが資産運用での成功の近道だと思っています。

参考文献:
『日産の創業者 鮎川義介』 著者:宇田川勝(吉川弘文館)

★今回の記事『鮎川義介に学ぶ、資産運用での成功の近道:資産運用で人格を磨く(10)』のオンライン解説を、5月22日(土)17:00~17:30に行います(参加費無料)。
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