鶏肉、豚肉、牛肉はすでに上昇が始まっていた!?

 マヨネーズ、サラダ油、マーガリンといった、豊かな食生活を送る上で欠かせない食品の小売価格が、今後上昇する可能性があることについて書きました。一方、実はすでに、コモディティ価格高が、わたしたちの食卓を襲い始めている例があります。各種食肉と鶏卵です。

図:日本の人口15万人以上の都市における各種品目の小売価格(平均)の騰落率
2020年6月と2021年3月を比較

※各種食肉100g、マーガリン1kg、鶏卵 1パック・10個、マヨネーズ 1本・450g、食用油 1本・1,000g、小麦粉 1袋・1kgあたりの税込小売価格
※参照した都市は人口15万人以上の81都市(特別区含む)
出所:総務省統計局 小売物価統計調査より筆者作成

 食肉のうち、特に鶏肉の価格上昇が目立っています(+2.9% 132.78円→136.57円)。その他、豚肉(国産バラ)(+1.0% 238.28円→240.56円)、牛肉(国産)(+0.2% 843.48円→845.44円)も値上がりしています。また、鶏卵も上昇しています(+0.6% 217.89円→219.16円)。

 食肉と鶏卵価格の上昇の要因は、穀物価格の上昇が挙げられます。穀物は、主に家畜のエサに用いられます。穀物価格の上昇が、エサのコストを上昇させ、その結果、食肉と鶏卵価格が上昇していると、考えられます。以下は、鶏肉小売価格とエサとなる配合飼料価格の推移です。

図:鶏肉小売価格と配合飼料価格(推定)の推移

出所:総務省統計局 小売物価統計調査およびJA全農のプレスリリースなどより筆者作成

 鶏肉価格(結果)が配合飼料価格(原因)を先導しているようにみえますが、実際には、配合飼料価格は3カ月に1回、改訂されるため、配合飼料価格を決定する最も重要な根拠である海外の国際指標(シカゴトウモロコシ先物価格)と、鶏肉価格はこの間、ほぼ連動するように動きました。

 一部の食肉では価格上昇が起きており、そして今後、植物油関連の食品でも、本格的な価格上昇が起きる可能性があります。穀物価格、それに関わりが深い食用油価格は、なぜ上昇しているのでしょうか。そして今後、どうなりそうなのでしょうか。