米中対立激化で、日本が板挟みになるリスクは要注意

 日本企業は、米国でも中国でも幅広くビジネス展開しています。そのため米中対立が激化するとその板挟みになる可能性があります。

 4月16日にワシントンで実施された日米首脳会後に発表された声明文には、台湾海峡の平和・安定の重要性が明記されました。台湾海峡で軍事的圧力を強める中国への強い牽制となります。日米共同声明に台湾が明記されるのは、1969年以来で52年ぶりです。

 ウイグル・香港の人権問題に加え、中国による台湾威圧問題が、米中の重大な火種となっています。米国との連携を強める日本に対し、中国は今のところ制裁を発動していません。ただし、万一、中国が日本企業に対して制裁を発動するようになると、中国でビジネスを行う日本の「中国関連株」は大きなダメージを受けます。米中関係、日中関係の変化は、注意して見ていく必要があります。

 中国で成長する株というと、カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング(9983)(以下ファストリと表記)はその代表ですが、同社は今、ウイグル問題で窮地に立たされています。

 ファストリはウイグル地区で生産されている綿を原料として使っていると考えられますが、それが中国政府によるウイグル族の強制労働に加担する行為となる可能性に、懸念が強まっています。欧米企業でウイグルからの綿の調達を止める企業が出ていますが、その企業に対して中国で不買運動が起こっています。

 ファストリは、どんな決断をしても業績に悪影響を受けるリスクがあります。もし、ウイグル綿の調達をしていてそれを継続するならば、人権に対する問題企業と欧米でレッテルを貼られるリスクがあります。もし、ウイグル綿の調達を止めると、中国で不買運動が起こり中国ビジネスに重大なダメージが及ぶリスクがあります。

 4月21日時点で、ファストリは1銘柄だけで日経平均の10.8%を占めています。ファストリへの売り圧力が続けば、日経平均の下押し要因となります。

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